MCTオイルの効果とは|ダイエットに有効?発がん性の心配は?おすすめの使い方もご紹介
MCTオイルは健康を意識する人に注目されている食用油ですが、「なんとなく良いらしいのは知っている」「ダイエット以外にも役立つの?」など、詳細までは知らない人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、MCTオイルの成分と効果効能を詳しく解説します。食べる以外の活用方法もあるので、MCTオイルをフル活用したい人はぜひ参考にしてください。
記事の監修
管理栄養士
安藤
老人保健施設の管理栄養士を経て、健康を維持するためには若いうちからの食生活の大切さを実感。2016年フリーランスとして活動を開始。レシピ開発や栄養指導、料理教室、食に関するコラムの執筆などを行っている。
MCTオイルの成分
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ここでは、MCTオイルの成分の詳細を解説します。後述する効果効能に関連したキーワードが数多く登場するので、ぜひご覧ください。
MCTオイルは中鎖脂肪酸
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脂肪酸の種類 | 含まれる食品 | 特徴 |
---|---|---|
短鎖脂肪酸 | 酢、牛乳、乳製品など | ・長鎖脂肪酸より速く分解・吸収される ・短時間でエネルギーになる ・体内に脂肪として蓄積されづらい ・認知機能低下の抑制などの健康効果がある |
中鎖脂肪酸 | ココナッツオイル、パーム油、母乳、ヤギ乳、牛乳など MCTオイルはこの中鎖脂肪酸100% | ・長鎖脂肪酸より速く分解・吸収される ・短時間でエネルギーになる ・体内に脂肪として蓄積されづらい ・認知機能低下の抑制などの健康効果がある |
長鎖脂肪酸 | オリーブオイル、キャノーラ油、ベニバナ油、グレープシードオイル、コーン油、大豆油、こめ油、綿実油、えごま油、亜麻仁油など | ・短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸と比べ、代謝に時間がかかる ・体内に脂肪として蓄積されやすい |
オメガ3(n-3系不飽和脂肪酸) | 脂肪が多い魚(鮭、マグロ、サンマ、サバ)、甲殻類(カニ、牡蠣、ムール貝)、亜麻仁油など | ・短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸と比べ、代謝に時間がかかる ・体内に溜まりにい脂質 |
キャノーラ油やオリーブオイルなど、一般的なオイルが長鎖脂肪酸であるのに対して、MCTオイルは中鎖脂肪酸です。長鎖脂肪酸と比べて分解・吸収が速く、素早くエネルギー源になるのが大きな特徴です。
エネルギーとしてすぐに使われるため、蓄積されづらいというメリットもあります。また、認知機能低下抑制などの効果も示唆されています。この点は効果効能の部分で詳しく紹介します。
C8とC10で構成されている
先ほどの図からもわかるように、中鎖脂肪酸は炭素数が8~12個の油です。炭素数に応じて、次のように名称がつけられています。
- 炭素数8:C8(カプリル酸)
- 炭素数10:C10(カプリン酸)
- 炭素数12:C12(ラウリン酸)
炭素数が少ないほど消化吸収・エネルギー代謝が速く、蓄積されづらいのが特徴です。MCTオイルは中鎖脂肪酸のなかで、もっとも消化吸収が速いC8(カプリル酸)をメインに構成されています。
C8のみのMCTオイルもありますが、C10(カプリン酸)を含むものもあります。代謝までのスピードはC8が優位ですが、C10にも健康にうれしい効果があるため、目的に合わせて商品を選びましょう。
MCTオイルとココナッツオイルの違い
MCTオイルもココナッツ由来の油ですが、ココナッツオイルは別物です。
ココナッツオイルはココナッツの白い実の部分から圧搾抽出されるオイルで、さまざまな種類の脂肪酸を含んでいます。ココナッツオイルの中鎖脂肪酸の割合は60%程度、長鎖脂肪酸が40%程度です。また、C12(ラウリン酸)を多く含んでいます。
MCTオイルはココナッツから中鎖脂肪酸だけを抽出した油です。C8とC10が中心で、ココナッツオイルのような甘い香りや味はありません。無味無臭です。
MCTオイルの効果
MCTオイルの主な効果を5つに分けて解説します。
ダイエット効果
MCTオイルには、エネルギーとしてすばやく利用される性質があり、長鎖脂肪酸の油と比較して体重や胴囲の減少に効果があるという報告があります。
実験では、オリーブオイルと比較して体重を減少させる効果が高いという結果が報告されています。また、ココナッツオイルと比較した場合には、より満腹感が持続したという報告もあり、二重のダイエット効果が期待できそうです。
参考:
healthline「7 Science-Based Benefits of MCT Oil」
オレオサイエンス「中鎖脂肪酸の栄養学的研究」
持久力アップ効果
MCTオイルは身体の疲労のパラメーターである乳酸の蓄積を減らすのに役立つことがわかっています。
運動の前にMCTオイルを摂取することで糖質の代わりに脂肪を利用しやすくなるとも考えられており、持久的なスポーツを行う際に利用できるエネルギー量を増やすはたらきも期待できそうです。
認知症に対する効果
MCTは長鎖脂肪酸と比較して、人体のエネルギー源のひとつである「ケトン体」を10倍以上多く作り出すことが分かっています。
このケトン体は、ブドウ糖をエネルギー源としてうまく利用できなくなった認知症の脳の代替エネルギーとして活躍。脳細胞を長く生かすことにつながるといわれています。
軽度から中程度の認知症でMCTの投与が症状を改善したという報告もあり、今後の治療への応用が期待されています。
てんかん、自閉症などに対する効果
MCTが多く作り出すとされるケトン体は、糖の代わりに脳のエネルギーとして利用することで、てんかん発作の頻度を減らす可能性があることがわかっています。
ただし、厳密なケトン食療法は、MCTを摂るだけでなく、糖質を摂らない、脂肪を多く摂るなどといった決まりがあります。副作用もあるため、試したい方はまずかかりつけの医師に相談するとよいでしょう。
また、MCTオイルとケトン食は自閉症に効果があるとする研究もあり、より詳細な研究が期待されています。
白髪ケア効果
MCTオイルはエネルギー代謝が早いため、上手に活用すると糖質ではなく脂質をエネルギー源とするケトン体質を目指せます。
ケトン体には抗酸化作用があるため、メラノサイトや毛母細胞を酸化ダメージから守る効果を期待できます。
また、血管・血流の改善にも役立つため、毛根まで栄養が行き届きやすくなります。結果的に、白髪や薄毛ケアになることが期待できます。
ケトン体質を目指すケトジェニックダイエットの方法は次の記事で詳しく解説しています。
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MCTオイルの取り入れ方
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毎日小さじ1杯から始める
MCTオイルの摂取は1日1~2回、1回あたり小さじ1杯(5ml)から始めましょう。体にうれしい効果のある油ですが、相性の良し悪しもあるため少量で体調の変化などを観察することをおすすめします。量を増やすのは慣れてきてからです。
摂取上限としては1日大さじ1杯までが推奨されています。1日に大さじ1〜3杯(約15〜45ml)を超えると過剰摂取です。カロリーオーバーや消化器系に負担をかけるリスクがあるため注意しましょう。
MCTオイルの食べ方・飲み方
MCTオイルは無味無臭、粘度も低くサラサラしているので、アレンジしやすいオイルです。
- 飲み物に1さじ
- ドレッシングに混ぜる
- サラダにかける
- ヨーグルトにかける
ただし、MCTオイルは沸点が低く170℃を超えると煙や泡が出ます。加熱には向いていないので、注意が必要です。
次の記事ではMCTオイル活用におすすめのバターコーヒーについて詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
![](/contents/wp-content/uploads/2019/06/wp32579_buttercoffee_eyecatch-300x300.jpg)
MCTオイルを日常に取り入れてみよう
![ココナッツオイル](/contents/wp-content/uploads/2022/07/wp_87186_01.jpg)
MCTオイルはエネルギーとして使用されやすい中鎖脂肪酸であることがわかりました。糖質を控えめにしてMCTオイルを摂取すれば、脂肪を燃焼しやすいケトン体質も目指せます。ダイエットや持久力アップを目指す人におすすめです。
揚げ物などの加熱調理には向いていませんが、ドレッシングのようにかけるだけで手軽に使えます。飲み物やサラダ、ヨーグルトなどさまざまなものにかけてみましょう。
●管理栄養士からのコメント
油というとカロリーが高く、太りやすいイメージがあり、ダイエット中の方はなるべく避けている方も多いですよね。 しかし、油のカットしすぎは体の不調をきたすこともあります。 MCTオイルは体脂肪になりにくく、エネルギーとして使われやすい油なので太りにくく嬉しいですよね! 私の特におすすめの使い方はドレッシングです。市販のドレッシングにはあまり良くない油が使われていることも多いので、使いたい時にMCTオイルと顆粒の野菜ブイヨン、レモン汁でささっと作れば酸化も抑えられて安心です。 MCTオイルを選ぶ際には化学的な工程で抽出されていないものがおすすめですよ。
管理栄養士プロフィール
安藤
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老人保健施設の管理栄養士を経て、健康を維持するためには若いうちからの食生活の大切さを実感。
2016年フリーランスとして活動を開始。レシピ開発や栄養指導、料理教室、食に関するコラムの執筆などを行っている。
また「食を見直すならまずは毎日使う調味料から」をコンセプトに地元愛知県三河のみりんや味噌などの伝統的な調味料の素晴らしさを伝えるセミナーなども開催。
食や栄養に関すること全般ですが特に
・調味料について(みりん、味噌や醤油などの製法やどんなものを選ぶと良いかなど)
・体に優しいスイーツの選び方、作り方
・ダイエットレシピの考案
・時短レシピの考案を得意としています。
MCTオイルの効果に関するQ&A
- MCTオイルとココナッツオイルの違いは?
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ココナッツオイルは中鎖脂肪酸の含有量が約60%であるのに対して、MCTは100%です。 また、ココナッツオイルは原料由来の甘い香りがあるのに対してMCTオイルには香りがありません。 冷やしてもココナッツオイルのように固まらないため、料理に使いやすいのも特徴のひとつです。
- MCTオイルを摂りすぎるとどうなる?
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MCTオイルは、一度に多く摂り過ぎてしまうと、お腹が緩くなるったり頭痛・吐き気などを引き起こすことがあるほか、他の油と同様に摂りすぎは肥満につながります。
- MCTオイル いつ飲むのが効果的?
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MCTオイルは、研究結果によると1日の摂取の目安は6gほどが効果的とされています。初めての方は1日に2~3回に分けて体調をみながら試しましょう。
- MCTオイルは加熱しても大丈夫ですか?
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MCTオイルは沸点が低いため、170℃を超えると発煙する可能性がありますので、炒め物や揚げ物に使うことはおすすめできません。 温かい飲み物やスープなどに入れたり、ケーキや焼き菓子などの材料として使うことは可能です。
- どんなMCTオイルがオススメですか?
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健康のために手に取るものだからこそ、①身体にやさしい100%ココナッツ由来であること、②オーガニック認証やGMP(製造工程の品質保持)、ISO22000・HACCP(衛生管理)といった世界的な栽培・製造に関する基準を満たしていることに着目して選ぶことをお勧めします。
- オーガニックのMCTオイルがオススメである理由は?
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MCTオイルは海外製の商品なので、特に製造工程や衛生面が不透明になりがちですが、オーガニック認証などの基準を満たしているものであれば、一定の品質や安全性は保証されているためです。
参考:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nisshoshi1964/67/12/67_12_1082/_pdf
https://www.nisshin-mct.com/contents/page195.html
https://www.healthline.com/nutrition/mct-oil-benefits
https://www.nisshin-mct.com/index.html
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27430387?fbclid=IwAR1I9Hfb8UiupvOzDcGNkBcxpiEDyG4LEXDhQaNGfYLmG94-43CdfOoY_EY
https://www.healthline.com/nutrition/3-reasons-why-bulletproof-coffee-is-a-bad-idea#6
https://www.nisshin-oillio.com/customer/faq_detail.html?id=4000137
https://melos.media/wellness/47411/
https://www.healthline.com/nutrition/mct-oil-benefits#section8
https://www.shozankan-shop.com/topics_detail.html?info_id=46