デーツの栄養価と効果・効能。美味しい食べ方・レシピもご紹介!

記事の監修

この記事は管理栄養士の方に監修していただいています

管理栄養士

鶴田ようこ

調理師・管理栄養士。2つの資格を生かし食用油脂製造会社にて品質管理に従事。
菜種油、オリーブ油の品質に関する分析、衛生管理等を行う。
幼い頃から野菜作りの手伝いをしていたことから、季節の野菜料理が得意。

デーツ

キャラメルにも似た濃厚な味わいをもつ中東のフルーツ、デーツ(なつめやし)。
日本では馴染みが薄いフルーツですが、その強い甘味にもかかわらず血糖値を上昇させにくく、ヘルシーなお茶請けとして近年人気が上昇しています。

今回はそんなデーツの栄養価と効果・効能、カロリーなどを中心に、美味しい食べ方やレシピなどをご紹介します。

デーツとは

デーツとは

デーツ(英語:Date、和名はナツメヤシ)はヤシ科の常緑高木で、エジプトやサウジアラビアなどの北アフリカ、中東、南アジアなどで広く栽培されている果物です。

その栽培の歴史は古く、紀元前7千年頃にはすでに食用とされていたことがわかっています。
甘味の強い果実はパンやケーキの材料とされたほか、ワインや酢の原料としても使われてきました。
現代でもその甘味を活かし、生の果汁を煮詰めたシロップなども市販されていますが、多くはドライフルーツとして流通しています。
味は干し柿や黒糖にも例えられる濃厚な甘味と噛み応えが特徴。
そのまま食べるほか、スイーツの材料などにも利用されます。

干しブドウなどに比べ日本では馴染みの薄いドライフルーツですが、糖度が高い割に血糖値を上げづらいのが魅力。栄養価も高く、近年健康的な甘味として注目されています。

デーツの種類

デーツの種類

デーツには数百種類以上もの品種があるといわれ、品種によって大きさや形、色などが異なります。
柔らかさ、弾力、水分量、味わいなども異なりますので、用途や好みによって選んでみてください。

種類 特徴
ピアロム ・濃い茶色のデーツ。サイズは2~5㎝ほど
・タフィーやキャラメルを思わせる独特の甘み
・中東では最高級といわれる
ディグレット ノア ・琥珀色のデーツ。中~大サイズまでさまざま
・繊細で品のある風味で、料理にも最適とされる
サイヤー ・赤褐色の細長いデーツ。サイズは2.5~4㎝ほど
・やわらかな食感と濃厚な甘さ
マジョール ・琥珀色~赤褐色のデーツ。大粒で肉厚
・柔らかくて甘みが強く、豊かな風味
ハラウィ ・褐色のデーツ。小ぶりで皮が薄い
・甘さの中に酸味も感じられる

デーツとなつめの違い

デーツとなつめの違い

名前も見た目も近いデーツ(ナツメヤシ)となつめですが、どのような違いがあるのでしょうか? それぞれの違いを見てみましょう。

科学的分類・産地 特徴
デーツ
(ナツメヤシ)
ヤシ科ナツメヤシ属
産地はアフリカや中東
・主にドライフルーツにされる
・糖分が高くワインや酢などにもされてきた
・濃厚な甘味が特徴
なつめ(棗) クロウメモドキ科ナツメ属
産地は中国・韓国・日本
・ドライフルーツ・生薬として使われる
・強壮作用や胃腸への効果があり、薬膳に使用される

デーツとなつめは全く違う植物で、栽培されている地域も異なります。
日本ではその見た目が近いためにデーツの方が「ナツメヤシ」と呼ばれるようになったようです。
逆に英語ではなつめが「Chinese date」とも呼ばれています。

なつめはデーツよりも甘味があっさりとしており、食感もねっとりとしたデーツに対してフカフカとした食感。
見た目は似ていますが食べ方も効能も異なります。
間違えないよう注意してください。

デーツの栄養価

デーツの栄養価

果実に含まれる栄養分がぎゅっと凝縮されているドライデーツ。特に次の栄養成分を豊富に含有しています。

<食物繊維>

腸内環境の維持・改善に重要な役割をする食物繊維が、100g中7gとレーズンの約1.7倍含まれています。特に不溶性食物繊維の割合が多めです。

<マグネシウム>

丈夫な骨を作ったり、体内の酵素の働きを助ける役割をもつマグネシウムは、100g中60mgとプルーンの約1.5倍、レーズンの約2倍含まれています。

<鉄分>

貧血の予防に重要な栄養素である鉄は、100g中0.8mgとほうれんそう(0.9mg)と同程度含まれています。

<カルシウム>

丈夫な骨や歯を作ったり、精神的な落ち着きをもたらすとされるカルシウムは、100g中71mgとプルーンの約1.8倍含まれています。

他のドライフルーツと比較してずば抜けて栄養価が高いというわけではありませんが、砂糖と小麦粉で作られた菓子類などと比較するとその栄養価の高さは明らかです。

デーツのカロリー~食べ過ぎるとどうなる?

食べ過ぎ

ヘルシーな甘味とされているドライデーツですが、そのカロリーは266kcal/100g、糖質は64.3g/100gと、生のフルーツ類と比較するとかなり高めです。

食品成分 エネルギー 糖質
kcal g
ドライプルーン 235 55.2
ドライレーズン 300 76.2
ドライデーツ 266 64.3
生のブドウ 59 15.2
どら焼き 284 55.6

出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

こちらの表を見れば分かる通り、その糖質量はどら焼きよりも多く、カロリーも生のブドウよりも菓子類であるどら焼きにずっと近くなっています。

食物繊維が多く含まれているため血糖値が上がりづらく、食物繊維の量の少ない菓子類や清涼飲料水などと比較すると太りづらいとされていますが、当然食べ過ぎれば太る原因に。
一口サイズなのでついついたくさん食べてしまいがちですが、ダイエット中の方は分量を計算し、個数を決めて食べるようにしてください。

デーツの効果・効能

紀元前から長く食されているデーツですが、その健康効果についてはまだ未知の部分も。
実験の結果報告されているいくつかの効果についてご紹介します。

効果・効能1 抗酸化効果

抗酸化効果

デーツには、糖尿病やアルツハイマー病などに効果が期待されているフラボノイド、心臓病のリスクを低減させると考えられているカロテノイドなど複数の抗酸化物質が含まれています。
デーツのポリフェノール濃度はドライフルーツの中でも最も高いとされ、生活習慣病の予防効果やアンチエイジング効果、美容効果などが期待できそうです。

 

効果・効能2 脳の炎症を防ぐ効果

脳の炎症を防ぐ効果

デーツには脳内の炎症を低減させる効果やアミロイドβタンパク質の活性を低下させる効果があるという報告があります。
脳内の炎症やアミロイドβタンパク質の沈着はアルツハイマー病などの脳疾患を引き起こす要因であると考えられており、今後ヒトを対象とした実験によってデーツのアルツハイマー病予防効果が実証されることが期待されています。

 

効果・効能3 便通改善効果

便通改善効果

デーツには便秘の予防に重要な役割を果たす食物繊維が豊富に含まれています。実験ではデーツの摂取により排便の回数に改善効果が見られました。
便秘の改善は腸内環境の改善や美肌、代謝の活性にもつながるとされており、デーツの適度な摂取がさまざまな点で健康維持につながる可能性がありそうです。

 

デーツが生活習慣病を予防?!
デーツはGI値(食後血糖値の上昇のしやすさを示す指標)が低く、食後血糖値が急上昇しない食材として知られています。
血糖値の急上昇は肥満や糖尿病、心筋梗塞などの生活習慣病の元。白砂糖をデーツペーストで置き換えるなど、GI値の高い食材をデーツで置き換えることにより、生活習慣病の予防につながる可能性があります。

デーツの食べ方

デーツの食べ方

各種茶類とも相性がよく、手軽なお茶請けとしてそのままつまめるデーツですが、お菓子や料理の材料など活躍の幅が広いのも魅力のひとつです。その濃厚な甘味を活かし、世界各国で多様な食べ方が楽しまれています。

<おつまみ、前菜に>

  • ・デーツに切れ目を入れ、ナッツやチーズなどを挟む
  • ・デーツの中にチーズを詰め、ベーコンで巻いてグリルする

<料理に>

  • ・デーツを刻んでカレーやタジン鍋などに加える
  • ・デーツを刻んでチャツネの材料として加える
  • ・デーツをナッツなどと一緒に刻んでサラダの材料として加える

<パン、菓子、デザートに>

  • ・デーツを刻んでレーズンのようにパンや焼き菓子に入れる
  • ・デーツを刻んでクリームチーズに混ぜ、スプレッドに
  • ・デーツを水で戻し、スムージーの材料に
  • ・デーツを刻んでヨーグルトに入れる(水分を含んで身がふっくらする)
  • ・ねっとりとしたペースト状にしたデーツをナッツや穀類と混ぜてエナジーバーに
  • ・刻んだデーツと他のドライフルーツ、ナッツ、シリアルをバターでまとめて焼かないクッキーに

ヘルシーデーツレシピ

レシピ

デーツペースト

さまざまな料理に入れて甘味料として使えるデーツペースト。市販のデーツシロップは果汁から作られ、家庭で作るのは難しいですが、このペーストなら手軽に作ってはちみつのように使うことができます。
パンに塗ったりお菓子の材料にしたりするほか、味醂の代わりに料理に入れるのもオススメです。

 つくり方

1
デーツ100gを器に入れ、湯50mlに浸します。
2
デーツがふっくらと戻ったらブレンダーでペーストにします。
3
好みの濃度になるまで水を加えます。しばらく保存する場合は水を加えすぎないようにしましょう。

デーツあんこ

大量の砂糖を使う餡子も、デーツを使えば無糖で作れます。
食物繊維の豊富な小豆にさらに食物繊維とミネラルがプラスされた健康的なデーツあん。お餅や白玉に添える、どら焼きに挟むなど、ヘルシースイーツの材料としてどうぞ。

 つくり方

1
デーツ1カップを刻んでお湯1/2カップに浸します。 
2
小豆1カップをたっぷりの水とともに鍋に入れ、水から煮て沸騰したらざるに上げます。
3
空になった鍋に小豆を戻し、小豆の3倍量(750ml)の水を入れて弱火で1時間ほどアクを取りながら煮ます。
4
小豆がふっくらしてきたら1のデーツを入れ、塩をひとつまみ加えてヘラで潰しながらさらに煮詰めます。全体が柔らかく煮えたらできあがりです。

デーツチョコレート

デーツのキャラメルにも似た味わいを活かした、砂糖なしで濃厚な甘さの楽しめるトリュフです。動物性の油脂を含まないため、ヴィーガンの方にもおすすめです。

 材料

・デーツ
170g(刻む)
・アーモンドパウダー
40g
・ココアパウダー
15g
・ココナッツオイル
大さじ1(液体の状態で)
・塩
ひとつまみ
・バニラエッセンスまたは好みのリキュール
少々

 つくり方

1
材料をフードプロセッサーに入れて攪拌し、ねっとりとしたペースト状になったら手で丸めます。
2
砕いたアーモンドやココナッツファイン、カカオパウダー、フリーズドライラズベリーパウダーなどを周りにまぶしてできあがりです。

デーツの賞味期限と保存方法

賞味期限

ドライフルーツに加工され、ビニールなどで密封されたデーツの賞味期限は10~12か月ほど。高温多湿を避けて冷暗所で保存しましょう。特に、酸化しづらい冷蔵庫での保存がおすすめです。
封を切った後もすぐに劣化することはありませんが、カビなどが出やすくなるため、しっかりと密封して冷蔵庫で保管し、早めに食べきりましょう。

●管理栄養士からのコメント

デーツは、食物繊維、カリウム、マグネシウムなどが含まれています。
最近では、市販でも見かけるようになってきたデーツは種類が多く、品種によって形や大きさも異なります。濃厚な甘味があるので、そのまま食べるだけでなく、ヨーグルトにトッピングしたり、お菓子作りにもお使いいただけます。
ドライフルーツの中には、砂糖を使用しているものと使用していないものがあります。
用途や好みで選んでみてください。

ようこ

管理栄養士プロフィール

◎鶴田ようこ

調理師・管理栄養士。2つの資格を生かし食用油脂製造会社にて品質管理に従事。
菜種油、オリーブ油の品質に関する分析、衛生管理等を行う。
幼い頃から野菜作りの手伝いをしていたことから、季節の野菜料理が得意。

デーツについてのQ&A

妊娠中にデーツを食べても大丈夫ですか?
デーツには、食物繊維や鉄分など、妊娠中に摂りたい栄養素も豊富に含まれています。妊娠中のおやつとしておすすめです。
デーツを食べるおすすめのタイミングは?
デーツは栄養素が豊富に含まれているため、健康食品の一種と思っている方も多いかもしれませんが、カロリー・糖質も多く含んでいます。普段の食事やおやつにプラスして摂るのではなく、おやつやデザートの代わりとして摂るのがおすすめです。
デーツはダイエットに有効ですか?
デーツはカロリー・糖質ともに菓子類に近い含有量がありますが、血糖値を上昇させづらい(=脂肪を溜めづらい)食材であるため、血糖値を上昇させやすい菓子類や清涼飲料水と置き換えることでダイエットに利用することができます。
デーツの選び方を教えてください。
市販のドライデーツには種なしのものと種つきのものがあります。種抜きのものは中を割った状態で検品されているため、内部に虫やカビなどが生じた不良品が取り除かれている可能性が高く、品質にこだわる方は種が抜かれたものを選ぶことをおすすめします。
デーツは糖尿病に良いって本当?
デーツはGI値が低めで血糖値を上げづらい食材であり、血糖コントロールに役立つ可能性がありますが、糖尿病を治療する効果があるわけではありません。糖尿病の方は医師の指示に従ってください。

おすすめのデーツ

かわしま屋で厳選したデーツを揃えています。ぜひこの機会にお試しください。



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この記事を書いた人

パン作りと温泉をこよなく愛する2児の母。老後は伊豆で大きな犬と暮らすのが夢です。豆乳が好き、猫は苦手。