味噌と健康|豊富な味噌の栄養素や作り方から賞味期限まで解説

日本人の食生活とは切っても切れない、深い関わりのある調味料「味噌」。
味噌汁や味噌料理などの種類も豊富なので、味噌を一度も口にしたことが無い!と言う方はいらっしゃらないのではないでしょうか?
非常に私たち日本人にとって馴染み深い「味噌」について、今回は作り方から栄養成分まで細かく書いていきたいと思います。
味噌とは
味噌とは大豆や米、麦などを蒸したものに食塩と麹(こうじ)をまぜて発酵させた調味料の事です。
日本食の定番料理である「味噌汁」は、味噌を使った最もポピュラーな料理で、日本の食卓には欠かせない存在ですね。
日本各地で様々な種類の味噌が製造されていて、その地方の郷土料理などにも多く使われています。
味噌の歴史
味噌の起源は中国の「醤(しょう)」と「鼓(し)」からきていると言われています。
- ●醤
- 動物や魚の肉、穀類などをつぶして、塩と酒を混ぜて壺につけこみ、熟成させたもので、中国には紀元前から存在していました。
- ●鼓
- 大豆と雑穀と塩をまぜて発酵させたもの。味噌の原型ともいわれています。
日本国内にも「醤」に似た食品が存在しましたが、それほど味や品質は高くなかったとされています。
中国から伝わってきた「醤」はとても高品質で味も良かったそうです。
これらは贅沢な食材として朝廷や貴族などの特権階級のみが食べる事を許されていました。
初めて日本の歴史に登場した味噌
味噌が日本の歴史書に初めて登場したのが901年(昌泰4年)。
この頃には中国から伝わってきた「醤」と「鼓」の加工技術が日本でも広まり、独自の調味料「味噌」が誕生したとされています。
平安時代頃の味噌は作られる量も少なく、大変貴重な食材とされていました。
江戸時代頃にようやく庶民の生活にも根付き始め、一般家庭の食卓にも味噌が登場するようになります。
生産量を増やす為に様々な地域で味噌が作られ始め、地域オリジナルの味や材料なども使われるようになりました。
和食の定番調味料「味噌」の起源と歴史
日本の伝統的な発酵調味料「味噌」。
味噌は古くから、日本人の生活を支え、日本食には無くてはならない存在です。
味噌がどの様に生まれ、現代まで親しまれてきたか、起源と歴史を探っていきたいと思います。
麹で変わる味噌の種類
味噌は使う原材料によって大きく三種類に分けることができます。
●米味噌
米味噌とは大豆に米麹を加えて発酵させる味噌を指します。
米味噌という名前から米が主原料の様に感じますが、味噌作りの主原料は「大豆」です。
米味噌と呼ばれる所以は、米麹を使うところにあります。日本国内の8割がこの米味噌です。

●麦味噌
大豆に麦麹を加えて発酵させた味噌です。
米麹に比べて甘みとほんのりとした麦の香りが特徴的です。
主に九州地方で作られていて、鹿児島県の薩摩味噌などが特に有名です。

●豆味噌
豆麹と塩だけで発酵させた味噌です。
赤味噌や八丁味噌などが豆味噌にあたります。
米麹を加えて味に丸みを出すこともあるそうです。
熟成期間が最低でも2年必要なこともあり、やや難易度の高い味噌と言われています。

基本的には全ての味噌は「大豆」を原料としています。
その大豆に加える麹の種類によって、米味噌・麦味噌・豆味噌に分けられているんですね。
地域で生まれた色々な味噌
前述した三種類の味噌から、さらに地域独自の作り方から生まれた味噌もあります。
●北海道味噌(米味噌)
冷涼な地域は発酵の進みが鈍い為、北海道味噌は熟成や切り返し(味噌を混ぜること)を通常の味噌作りよりも長く行います。
味は辛口の米味噌で、塩分は控えめ。比較的スッキリした味わいです。

●越後味噌(米味噌)
米粒(麹の殻)が浮いて見えるので浮き麹味噌とも呼ばれています。
辛口ですが、出汁をとらなくても味噌汁ができるほど旨みとコクが強いそうです。
塩分はやや高めの米味噌です。

●信州味噌(米味噌)
国産味噌の4割がこの信州味噌と言われています。
白味噌に近い色合いで、酸味のある香りとさっぱりとした旨みが特徴的です。
辛口で、塩分もやや高めの米味噌になっています。

●東海豆味噌(豆味噌)
赤味噌料理で有名な、名古屋の味噌料理に使われている味噌がこの東海豆味噌になります。
高温多湿な地域で、味噌を酸化から守るために、味噌玉製麹という技法で作られています。
赤褐色で辛口の豆味噌になります。

●関西白味噌(米味噌)
米麹と大豆の割合が多く、とても甘口なので「甘味噌」とも呼ばれています。
塩分は控えめで、薄黄色い淡い色合いです。
熟成期間が短いのであっさりとした味わいが特徴的です。

●瀬戸内麦味噌(麦味噌)
麦麹を使っているので、麦の香りが芳醇で豊かなコクが味わえる味噌です。
麦が使われることで、食物繊維も多く含まれています。辛口で塩分はやや控えめの麦味噌です。

●九州麦味噌(麦味噌)
麦麹の割合が高く、甘みが強いのが特徴的な麦味噌です。
淡色で麦の粒が残っているので、九州地方では味噌こしを使って味噌汁を作るそうです。
塩分は控えめの麦味噌です。

味噌の栄養素が持つ健康効果
ほぼ全ての味噌は大豆と麹で作られていることがわかりました。
そしてこの大豆と麹菌の栄養成分を併せ持つ味噌が、近年の研究で人体に有効な効果を与える事が分かりました
- ●味噌の中の有効成分
- ・タンパク質 ・ビタミンB2 ・ビタミンB12 ・ビタミンE ・酵素 ・サポニン ・トリプシンインヒビター ・イソフラボン ・レシチン ・コリン ・プロスタグランディンE ・褐色色素 ・食物繊維
味噌の効果1 糖尿病予防効果
味噌の褐色色素(メラノイジン)に食後血糖値の緩和作用があることがわかりました。
色の濃い味噌ほどその傾向が強かったそうです。
膵臓機能を促進させて、血糖値を下げる可能性も示唆されています

味噌の効果2 コレステロール値の抑制
大豆に含まれる成分「サポニン」に血中コレステロールの低下を促す作用があることがわかっています。
味噌に加工された後も作用するので、味噌にはコテステロール値を抑制する作用があると言えるでしょう。

味噌の効果3 老化の抑制
老化や疾病の原因の一つ、「活性酸素」。
「サポニン」にはこれらの活性酸素を消去し、疾病のリスクを下げる作用が報告されています。

味噌の効果4 骨粗鬆症予防
大豆の栄養成分で有名なイソフラボンは女性ホルモンに作用し、骨密度の低くなる骨粗鬆症の予防に期待がされています。

味噌の効果5 ガン予防
味噌が持つ抗酸化作用がガンなどに効果があると研究結果で明らかになりました。
特に胃ガンに対しての効果が顕著で、胃潰瘍などにも効果的とされています。

伝統製法から学ぶ味噌の作り方
味噌は大豆を煮る・潰すなどして加工し、味噌蔵と呼ばれる冷暗所で熟成させる方法で作られています。
この手法は江戸時代からほとんど変わっていないそうです。
伝統的で奥深い、味噌の作り方をご紹介いたします。
1.大豆を煮る
一晩浸水させた大豆を大きな釜などで煮ていきます。
圧力釜などで高圧で蒸しあげる方法でも行えます。
2.大豆を潰す
煮て柔らかくなった大豆を機械で潰していきます。
潰すことで発酵を促す効果もあります。
3.麹と塩を混ぜる
潰した大豆、麹、塩を混ぜて発酵の準備を行います。
4.味噌蔵に仕込む
味噌蔵に用意した大きな木桶に味噌を仕込んでいきます。
5.発酵させる
味噌蔵に仕込んだ味噌が発酵していきます。仕込みは1月頃が良いとされています。
6.味噌の完成
気温が落ち着く10月から11月頃に味噌が完成します。
家庭での味噌作りも可能です
味噌作りは少量であればご家庭でも作る事ができます。
原材料の大豆、麹、塩と仕込んだ後の保管容器(プラスチック製でも可)を用意すれば比較的簡単に味噌は作れます。
是非一度味噌作りをお試しください。
味噌の作り方|かわしま屋コンテンツ
当レシピはかわしま屋が味噌職人のアドバイスのもとにまとめたものです。
あくまで作り方の一例として参考にしていただけますと幸いです。
ご家庭の環境やお好みに合った作り方でお味噌づくりをお楽しみください。
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味噌の賞味期限について
市販の味噌にはだいたい賞味期限が6ヶ月くらいで設定されています。
賞味期限なので数日過ぎてしまっても基本的には食べる事ができます。
しかし、保管の状況によっては発酵が進んでしまっていたり痛んでいる場合があります。
例えば
- ●開封済みで常温保存していた場合
- ●未開封だが夏場に常温保存してしまった場合
などなどです。
開封してしまった場合は必ず冷蔵庫に入れる事、夏の暑い時期も常温保存はせず、冷蔵庫に入れた方が良いでしょう。
味噌はもともと塩分が多いこともあり痛みにくい調味料とされています。
しかし、湿度の多い季節などはカビが生えてしまったりなどしてしまいます。
また、気温が高い場所に置いてしまうと発酵が進んでしまい、味噌としての風味や味が損なわれてしまいます。
一番美味しく味噌を召し上がるには賞味期限を守り、ただしい場所に保管する事が大切です。

味噌についてのQ&A
- 味噌にカビが生えてしまったのですが食べられますか?
- カビの表面と周りを少し取り除いておけば食べられます。
特に青カビは腹痛などを引き起こす可能性があるので必ず取りましょう。
- 味噌が変色してしまいました
- 恐らく発酵が進んでいるのだと思います。
品質には問題ありませんが当初よりも風味などは変わっていると思われます。
- 手作り味噌が酸っぱく感じます
- 乳酸菌が繁殖してしまっていると思われます。
恐らく仕込みの際の塩が少なかったことが原因かと思われます。
一度繁殖してしまった乳酸菌を除去することは残念ながらできません。
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