乳酸菌にはどんな効果がある?花粉症やダイエットにも良いって本当?
乳酸菌には便秘・宿便予防をはじめ、花粉症やダイエットといった効果もあると言われています。そこで今回は、乳酸菌の働き、効果、効能について詳しく解説していきます。
乳酸菌の働き・効果・効能
乳酸菌の主なはたらき、効果効能を10のカテゴリに分けて紹介します。
1.整腸作用(便秘・宿便予防)
乳酸菌は腸内の善玉菌の代表格。消化吸収を助けるはたらきがあるため、便秘や宿便予防に役立ちます。
腸内フローラ(腸内細菌)のベストなバランスは次のとおり。
善玉菌2割:日和見菌7割:悪玉菌1割
ストレスや生活習慣で悪玉菌が増えると、腸内フローラのバランスが崩れます。悪玉菌は有害物質やガスを作り出し腸内を腐敗させるため、善玉菌を増やしてバランスを整えることが大切です。
腸内フローラについて詳しく知りたい方はコチラ。
2.免疫力の向上
小腸には免疫細胞の約60%が集中しているため、腸内環境を整えることは免疫力の向上にもつながります。
また、乳酸菌をとることによって免疫活動が活性化するスイッチが入り、体内の防御機能が高まります。
3.ピロリ菌の増殖を抑える
乳酸菌のなかにはピロリ菌の増殖を抑えるはたらきを持つものがあります。
代表例は乳酸菌OLL2716株(ガセリ菌LG21)です。
ピロリ菌は大腸がんや胃がん、十二指腸潰瘍などの要因といわれています。増殖を抑えることは将来の病気リスクへの備えとなるでしょう。
4.花粉症・アレルギーの症状軽減効果
花粉症もアレルギーの1つです。体を守る免疫が、特定の物質に対して過剰反応することでアレルギー症状を引き起こします。
乳酸菌によって腸内環境を整えることは、免疫機能の正常化に有用です。つまり、アレルギー症状の軽減を期待できます。
5.アトピー・肌荒れ改善
悪玉菌が作る有害物質は肌荒れの一因です。乳酸菌が腸内の善玉菌としてはたらくと腸内フローラのバランスが保たれるため、肌荒れを引き起こしにくくなります。
乳酸菌には肌の潤いを保つ効果もあるため肌荒れの改善に有用です。
また、アレルギー疾患の1つであるアトピー性皮膚炎にも、アレルギー症状の軽減効果と合わせて改善効果を期待できます。
6.口腔環境の改善・虫歯予防
乳酸菌は、歯周病を予防したり虫歯を防いだりする効果も認められています。
歯周病の原因となる代表的な悪玉菌3種類に乳酸菌LS1を加えて培養したところ、24時間で3菌ともほぼ死滅したという報告がありました。
7.血中コレステロール低下
コレステロールにも善玉と悪玉がありますが、実はどちらも体に必要なコレステロールです。
しかし、悪玉コレステロールが増えすぎると動脈硬化などのリスクがあるため、多ければ良いというものではありません。
乳酸菌には悪玉コレステロールをほどよく下げる効果があります。乳酸菌が作る短鎖脂肪酸が、悪玉コレステロールを合成する肝臓の酵素のはたらきをブロックする仕組みです。
8.内臓脂肪の低減
内臓脂肪による隠れ肥満。BIMは正常値にも関わらず体脂肪率が高い場合が該当します。脂肪が腸間膜の周囲に蓄積している状態です。
乳酸菌の1つであるガセリ菌(Lb. gasseri SBT2055 株)には、内臓脂肪の蓄積抑制効果があります。
余分なエネルギーの蓄積を防ぐために定期的な運動をおこないつつ、ガセリ菌を摂取しましょう。
9.ダイエット
見た目が太ってしまう理由の1つが腸内環境の悪化です。
腸内環境が悪化すると、短鎖脂肪酸の産出が低下します。短鎖脂肪酸には脂肪の吸収を妨げ、積極的に消費させるはたらきがあります。
つまり、腸内環境が悪化して短鎖脂肪酸が産出されにくくなると、肥満を招くということです。
乳酸菌によって腸内環境を改善できれば、ダイエットにもつながります。
10.ストレス緩和
乳酸菌発酵乳を4週間継続して摂取した実験があります。
結果、乳酸菌によって睡眠中のストレスホルモン(コルチゾール)の増加を抑制することが確認されました。
また、不安・不眠スコアも大幅に改善しています。
近年の研究によって脳と腸には深い関係があることがわかってきているため、乳酸菌腸内環境を改善することはストレス緩和にも効果があるといえるでしょう。
乳酸菌の死菌にも効果がある
乳酸菌は死んでしまっても、免疫活性を上げるという効果があります。死菌を経口摂取した場合、体の免疫細胞は死菌を異物として認識しますが、過剰反応しません。つまり、免疫活性をほどよく誘導するということです。
免疫アップのために、あえて乳酸菌を加熱殺菌した死菌配合のサプリもありますが、経口摂取した生菌が消化器官によって死滅した場合でも同様の効果があります。死菌も含めて乳酸菌には健康をキープする効果があるため、積極的に摂取するのがおすすめです。
死菌について詳しく知りたい方はコチラ
乳酸菌の働き・効果をアップさせる方法
定期的に乳酸菌を摂るだけでも体に良い効果を期待できますが、さらに効率を高めたいときにおすすめの方法を紹介します。
乳酸菌サプリを日常に取り入れる
乳酸菌には死菌にも効果があり、過剰摂取の心配がないため、どれだけ摂取しても問題ありません。毎日しっかりと摂取することで、健康が持続しやすくなるでしょう。
しかし、乳酸菌を毎日かつ一定量、一般的な食品から摂り入れることは容易ではありません。乳酸菌を含む食品には味噌・漬物・塩辛などの発酵食品やヨーグルト・チーズなどの乳製品がありますが、味への飽きや賞味期限の管理なども考えると、毎日続けるのはなかなかハードルが高いといえるでしょう。
取り入れやすいのは乳酸菌サプリです。乳酸菌サプリには錠剤タイプやパウダータイプがあります。錠剤タイプのメリットは手軽さと持ち運びやすさです。一方のパウダータイプのメリットとしては、料理や飲み物に添加できることがあげられます。外食が多い方には錠剤タイプ、自炊する方にはパウダータイプがおすすめです。
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オリゴ糖や食物繊維を摂取する
腸内環境を整える意味では乳酸菌とともに、オリゴ糖や食物繊維を摂取するのがおすすめです。両者には善玉菌のエサになる一方で、悪玉菌のエサにはならないという特性があります。つまり、乳酸菌のエサとなるため効果を高められるということです。
とくに食物繊維は日本の成人で1日あたり24gを摂ることが推奨されていますが、日本の平均摂取量は18.8gで不足気味です。食物繊維を手軽にとれるサプリやお茶があるので、日常に摂り入れてみましょう。
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目的に合わせて乳酸菌の種類を選ぶ
乳酸菌は2020年の時点で400種類以上発見されています。2016年頃までは300種類以上とされていたため、今後も増えていく可能性があるほど多種多様です。
種類によって期待できる効果に差があるため、目的に合わせて選ぶことも考えてみましょう。下の表で例を紹介します。
乳酸菌の種類 | 効果効能 | 多く含まれている食品 |
Leuconostoc mesenteroides (ロイコノストック・メセンテロイデス) | 腸内環境改善、抗肥満効果(NTM048株) 血中中性脂肪低減(R037株) | キムチ、すんき漬け、豆乳ヨーグルトなど |
Lactobacillus plantarum (ラクトバチルス・プランタルム) | 免疫賦活、歯周病改善効果(HK L-137株) | すぐき漬け、キムチ、ピクルス、鮒ずし、ワイン、サワードウ、豆乳ヨーグルトなど |
Lactobacillus brevis (ラクトバチルス・ブレビス) | 腸内菌叢改善、不安改善効果(KB290株) | すぐき漬け、キムチ、きゅうり古漬けなど |
Lactobacillus casei (ラクトバチルス・カゼイ) | 免疫調節、アレルギー抑制効果(シロタ株) | ヨーグルト、チーズ、サワードウなど |
乳酸菌の種類を詳しく知りたい方はコチラ。
乳酸菌の効果効能に関するQ&A
- 乳酸菌の摂取量に上限はあるの?
-
乳酸菌はどれだけ摂っても問題ないとされており、死菌でも体に良い効果があります。
- 乳酸菌の効果が出るのはいつから?
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実感がで始めるのは2週間、免疫などの効果は3カ月からが目安です。
- 乳酸菌と一緒に摂ると良いものは?
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オリゴ糖と食物繊維がおすすめです。
普段の甘味料をオリゴ糖に変えたり、食物繊維サプリを取り入れたりしましょう。 - 乳酸菌に副作用はある?
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乳酸菌自体に副作用はありません。ただし、ヨーグルトで摂取する場合は下痢になることがあります。お腹が冷えやすいことが主な理由です。また、牛乳よりは乳糖が少ないものの含まれてはいるため、乳糖不耐症の方とは相性が悪い場合があります。
参考資料:
『腸がよろこぶ植物性乳酸菌のチカラ』松生恒夫 菅沼大行 双葉社
『腸を鍛える-腸内細菌と腸内フローラ-』光岡知足 祥伝社新書
『プロバイオティクスとして用いられる乳酸菌の分類と効能』辨野義己
日本調理科学会誌『乳酸菌の生理機能とその要因』上西寛司 瀬戸泰幸
キリンビール株式会社基盤技術研究所『抗アレルギー効果のある乳酸菌 KW3110 株の発見と活用』
※第18回(2004年度)独創性を拓く 先端技術大賞 特別賞