トレハロース

お菓子やパンなどの原材料として美味しさを支える甘味料、トレハロース。
食品添加物と言われると、「人工甘味料なの?」「身体によくないのでは?」そんな疑問を感じる方も多いのでは?

今回は、身近な添加物であるトレハロースについてのさまざまな疑問にお答えし、ご家庭での使い方をご紹介していきます!

トレハロースとは

トレハロースとは

トレハロース(化学式:C₁₂H₂₂O₁₁)は、スクロース(砂糖の主成分)やマルトース(麦芽糖)、ラクトース(乳糖、母乳などに含まれる)などと同じ、天然に存在する糖の一種です。
大きな特徴は、パンや餅などのやわらかさと湿度を保ち、老化を防止する効果が高いこと。
砂糖の約40%の甘さであるとされ、甘味はそれほど強くありませんが、パンや和菓子、洋菓子、惣菜、レトルト食品など、幅広い加工品の原料として重宝されています。

トレハロースは歴史が浅い?
大昔から自然界に存在するトレハロースですが、長らく効率の良い抽出方法が見つからず、高価であったため一般的に食品用としては利用されてきませんでした。
広く利用されるようになったのは、林原という日本企業がトレハロース生成酵素を産生する微生物を発見したのがきっかけ。
現在では、食品はもちろん化粧品や医療などさまざまな分野で利用されています。

トレハロースに危険性はないの?

危険性

日本における食品添加物は、すべて安全性に関する評価を経て食品添加物として認められています。
また、トレハロースは自然界に存在しない甘味成分を化学的に合成して作り出された合成甘味料とは異なるものであり、現在市販されているトレハロースのほとんどはトウモロコシなどのデンプンから作られています。

それでも食品添加物=「体に悪いのでは?」「発がん性などがあるのでは?」というイメージをお持ちの方に、トレハロースについてもう少しご説明しましょう。

〇トレハロースは元々どんなものに含まれているの?

トレハロースは、なめこやシイタケ、酵母など、普段私たちが食べているものの中にも含まれています。
酵母が含まれるビールやパンなどにも含まれていますので、ほとんどの方は意識せずにトレハロースを口にしていることになります。

〇トレハロースはどんなふうに消化・吸収される?

トレハロースは、スクロース(ショ糖)やマルトース(麦芽糖)と同様に小腸でブドウ糖に分解され、吸収されます。
この分解を行うのがトレハローゼという腸内の酵素です。この酵素の産生量には個人差があるため、一度に大量に摂るとお腹が緩くなることがあるようです。これは乳糖などにも当てはまることで、一過性のものであり、身体に害があるわけではありません。

〇トレハロース、海外での扱いは?

トレハロースは、FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)の合同食品添加物専門家会議(JECFA)において、安全性評価の結果、その安全性の高さから1日摂取許容量(ADI)を特定しない食品添加物とされています。

〇トレハロースが腸炎を引き起こすってホント?

2018年に、トレハロースがクロストリジウム・ディフィシルという細菌の強毒株による腸炎患者の急増に関わっているという論文が科学雑誌に掲載され、真偽について話題になったことがありました。
論文は、トレハロースがクロストリジウム・デフィシル強毒株のエサとなり、同菌による腸炎を引き起こす原因となっているのではないかというもの。

実際は、カナダで腸炎が流行したのはトレハロースが認可される前であること、流通量の多い日本では腸炎の流行が起こっていないこと、摂取されたトレハロースの大部分は腸内細菌がいる大腸まで到達せずに小腸で分解・吸収されることなどから、トレハロースと腸炎の流行の間に関連性はないと考えられています。

食品添加物って?
「食品添加物」というと「危険そう」「身体に悪いのでは」という印象をもたれる方もいらっしゃるかもしれませんが、その定義は「保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されるもの」。天然のものか合成のものかということとも、安全性の高さとも関係ありません。
例えば食材として知られる寒天やトマトジュースなども、固める・色をつけるなど製品の加工の目的で使用されれば「添加物」。「添加物」=危険、ではないのです。

トレハロースの使い方と効果

使い方と効果

それでは、実際に料理やお菓子作りなどに利用する場合、トレハロースにはどのような特徴があるのでしょうか?

〇デンプンの老化を抑える

パンや餅などは、製造後時間がたつにつれて固く、ぼそぼそとした食感になり、消化しづらくなってゆきます。トレハロースにはこの老化を抑えるはたらきがあり、やわらかな食感とおいしさを長時間保つ効果があります。

〇しっとりした食感を保つ

トレハロースには保水性があり、お菓子やパンなどが乾燥してパサパサとした食感になるのを防ぎます。しっとりとしたおいしさを長時間保ちたい場合に効果的です。

〇茶色くなりにくい

パンケーキなどを焼いたとき、糖とアミノ酸とが反応して褐色になる現象をメイラード反応といいます。トレハロースは砂糖と比べこのメイラード反応を起こしにくいのが特徴です。

〇野菜や果物の色を保つ

切ったリンゴが茶色くなるのを防ぐための方策としては、塩水やレモン汁に漬けるのが一般的ですが、トレハロースの水溶液にも同様の効果があります。トレハロースは甘さも控えめで素材の味を邪魔しにくく、特にフルーツとは味の上での相性もよいためおすすめです。

〇ガラス化しやすい

砂糖の溶液は煮詰めていくとガラス化し硬くなりますが、トレハロースはより低い温度で硬くなります。
キャンディーなどのほか、クッキーなどにかけてパリパリとした食感を出すのにも向いています。

トレハロースは血糖値を上昇させづらい
トレハロースは糖の一種であり、摂取により血糖値を上昇させますが、その上昇・下降スピードはブドウ糖と比べると緩やか。ピークの血糖値も低く、血糖に影響を及ぼしにくい糖といえそうです。

トレハロースはどうやって使うの?

どうやって使うの?

一般的に、トレハロースは砂糖と併用して使われることが多いようです。
メーカーのWebサイトでは、レシピの砂糖の分量の2~4割を置き換えて使用することが推奨されています。
ガラス化しやすい、色が出にくい、甘さが控えめである(砂糖の40%)など、トレハロース特有の性質があるため、あまりトレハロースの割合を多くすると思った状態に仕上がらないこともあるようです。

トレハロースのカロリーは砂糖と同じ4kcal/gですが、砂糖をトレハロースで置き換えると、甘さは控えめの仕上がりになります。味に影響しづらいため、少量を料理の下ごしらえとして使うのもおすすめです。

<トレハロースを活用したいケース>
和菓子・洋菓子・パン 料理
・やわらかく、硬くなりにくい団子や大福を作りたい
・スポンジや焼き菓子の生地をしっとりと軽い食感にしたい
・パンのパサつきを抑え、もちもちした食感を保ちたい
・ゼリーやプリンのなめらかでみずみずしい食感を長持ちさせたい
・キャラメルポップコーンやりんご飴をパリパリの食感にしたい
・肉料理をやわらかくしっとりと仕上げたい
・卵料理をふんわりと仕上げたい
・野菜料理をシャキッと仕上げたい
・サラダなどの生野菜のみずみずしさを保ちたい

トレハロースについてのQ&A

トレハロースは糖尿病の人も使えますか?
トレハロースは糖尿病の人も摂ることができますが、キシリトールなど身体に吸収されない素材とは異なり、血糖値を上げないわけではありませんので注意してください。
トレハロースはお菓子やパン以外にも料理に使えますか?
ご飯を炊くときや肉・魚料理の下ごしらえに使用すると、ふっくらやわらかく仕上がります。
トレハロースと砂糖、仕上がりにどう差がでるのですか?
トレハロースは食材の水分を保ち、でんぷんが老化して食感や風味が落ちるのを防ぐはたらきが強いとされています。砂糖にも食材をしっとりさせる保湿効果がありますが、甘さ控えめなトレハロースは料理にも使いやすいのが特徴です。
トレハロースを摂りすぎるとどうなりますか?
トレハロースを一度に大量に摂った場合、体質によってはお腹が緩くなることがあるようです。摂取量の目安は、体重1kgあたり0.65g未満とされています。
トレハロースは化粧品にもなっているって本当?
トレハロースにグルコースが結合したグリコシルトレハロースは、皮膚の水分を保つ効果や毛髪のキューティクルの損傷を改善する効果などがあるとされ、化粧水やヘアケア製品などさまざまな製品に使用されています。