バルサミコ酢の効果6選|栄養成分と効果的な摂り方も解説

「健康や美容のために、毎日の食事にひと工夫加えたい」と感じている方は多いのではないでしょうか。そんな方におすすめしたいのが、芳醇な香りとまろやかな酸味が特長の「バルサミコ酢」です。

バルサミコ酢は、ポリフェノールや酢酸、カリウムなど、美容や健康に良い栄養成分を豊富に含んでおり、近年ますます注目を集めています。

この記事では、バルサミコ酢に期待される6つの効果をはじめ、豊富な栄養成分の特長や効果的な摂り方について詳しく解説します。

毎日の食卓に手軽に取り入れながら、無理なく健やかな毎日を目指すヒントとして、ぜひ最後までご覧ください。

記事の監修
管理栄養士
稲尾 貴子
管理栄養士として病院や保育園に勤務した経験があります。延べ1万人以上の栄養指導実績があり、得意分野は糖質制限や塩分制限、減量などの栄養サポートです。

管理栄養士:稲尾貴子
もくじ

バルサミコ酢の3つの栄養成分とは

バルサミコ酢は、ぶどうから作られる果実酢で、深い味わいに加えて、健康に役立つ栄養成分を豊富に含んでいる特長を持ちます。ここでは、特に多く含まれている以下の3つの栄養成分について紹介します。

  • ポリフェノール
  • 酢酸
  • カリウム

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

ポリフェノール

バルサミコ酢に含まれるポリフェノールは、黒酢の約3倍と非常に豊富です。

ポリフェノールにはさまざまな種類がありますが、バルサミコ酢には、ビタミンCの約20倍もの抗酸化力を持つプロアントシアニジンが含まれています。また、細胞の老化を防いでくれるレスベラトロールも含まれています。

これらのポリフェノールは、原料であるぶどうの皮や種に由来する天然成分であり、他の酢にはないバルサミコ酢ならではの特長です。

酢酸

バルサミコ酢の主成分である酢酸は、100mLあたり約5.6gも含まれています。
一般的な穀物酢(約4〜5g)よりも高く、酸味がしっかり感じられ、風味に厚みがあるのが特長です。

酢酸の量は、製品によって差はありますが、無濾過で長期熟成された本格的なバルサミコ酢ほど、酢酸の含有量が高めに保たれている傾向があります。

参考:日本食品標準成分表(八訂) 増補2023年

カリウム

バルサミコ酢には、100gあたり140mgものカリウムが含まれています。
これは、一般的な穀物酢(約4mg)の35倍もの量にあたります。カリウムは、塩分の摂りすぎを調整したり、血圧を安定させたりするのに役立つ栄養成分です。

また、バルサミコ酢にはカリウム以外にも、カルシウム、マグネシウム、鉄といったミネラルが含まれており、栄養バランスの良い調味料といえるでしょう。

参考:日本食品標準成分表(八訂) 増補2023年

バルサミコ酢の6つの効果とは

バルサミコ酢は、健康と美容の両面で効果が期待できる調味料です。酢酸・ポリフェノール・カリウムといった成分が、体の内側からさまざまな働きを支えてくれます。

ここでは、バルサミコ酢の効果について6つ紹介します。

  • 美しい肌と髪をサポートする
  • ダイエットをサポートする
  • 血液をサラサラにして巡りを整える
  • 生活習慣病の予防と改善をサポートする
  • 健康的に食欲をサポートする
  • 免疫力を高めて健康をサポートする

それぞれの効果について、詳しく見ていきましょう。

美しい肌と髪をサポートする

老化現象を防ぎ美容に効果的

バルサミコ酢は、肌の老化や髪のダメージを防ぎ、美しさを保つのに役立ちます。

その理由は、バルサミコ酢に豊富に含まれるポリフェノールによる高い抗酸化作用にあります。ポリフェノールは活性酸素の働きを抑えることで、シミやシワの原因となる酸化ストレスを軽減し、肌の老化を予防します。

さらに、血行促進作用によって顔色や肌のツヤが良くなり、頭皮の血流も改善されることで、髪の健やかな成長や白髪対策にもつながるとされています。

実際の研究でも、5倍希釈した150ml(原液30ml)のバルサミコ酢飲料を摂取したところ、血流の改善が確認されました。

よって、バルサミコ酢の継続的な摂取は、抗酸化作用と血流改善の相乗効果によって、美容に良い影響を与えるといえるでしょう。

参考:バルサミコ酢飲料摂取時の血液流動性に及ぼす影響 岡田 祐季(2007)

ダイエットをサポートする

コレステロール低下・ダイエット効果

バルサミコ酢には、ダイエットをサポートする働きがあります。

特に、酢酸には脂質の代謝を促す作用があり、体内の脂肪をエネルギーとして使いやすくすることで、痩せやすい体づくりに役立ちます。さらに、食後の血糖値の急上昇を抑え、脂肪の蓄積を防ぐのにも効果的です。また、便通を促す働きがあるため、老廃物を体にため込みにくくなります。加えて、満腹感を高める作用もあるため、食べ過ぎ防止にも効果的です。

実際の研究においても、朝晩15mlの食酢を12週間摂取した結果、内臓脂肪や血中中性脂肪が有意に減少したことが確認されています。

このように、バルサミコ酢は、脂肪を燃やす・ためない・食べすぎを防ぐ、といった相乗効果で、健康的にダイエットをサポートしてくれる調味料です。

参考:バルサミコ酢飲料摂取時の血液流動性に及ぼす影響 岡田 祐季(2007)
酢酸の生理機能性 山下広美(2014)
食酢の多様な効用 小泉幸道(2021)

血液をサラサラにして巡りを整える

血液をサラサラにする効果

バルサミコ酢は、血流を改善し、全身の巡りを整えるのに効果的です。

これは、酢酸やポリフェノール、カリウムにより血液の流れが良くなるためです。血液がスムーズに流れることで、冷えやむくみの軽減はもちろん、代謝の活性化にもつながります。また、ポリフェノールなどの抗酸化成分には血管を保護する働きがあり、血液の健康維持にも役立ちます。

実際の研究でも、バルサミコ酢を含む飲料を摂取した後に血液が改善された結果が報告されており、バルサミコ酢が血流や代謝に良い影響を与えることが裏付けられています。

参考:バルサミコ酢飲料摂取時の血液流動性に及ぼす影響
岡田 祐季(2007
食酢の多様な効用 小泉幸道(2021)

生活習慣病の予防と改善をサポートする

元気な女性のイラスト

継続的にバルサミコ酢を摂取することで、生活習慣病の予防や改善に役立つ効果が期待できます。

これは、酢酸に含まれる血糖値の上昇を抑える働きや、脂質の代謝を促進する効果にあります。これらの効果によって、糖の吸収が穏やかになり、血糖値や中性脂肪、コレステロールのバランスが整いやすくなります。

さらに、バルサミコ酢に含まれるポリフェノールには高い抗酸化作用があり、動脈硬化などのリスクを軽減する働きがあるとされています。

実際の研究では、酢酸の継続的な摂取によって、血糖値の上昇が抑えられ、血中の中性脂肪や総コレステロール値が低下するといった効果が確認されました。

このように、バルサミコ酢は、体の内側から健康をサポートし、生活習慣病のリスクを総合的に減らすことが期待できるといえるでしょう。

参考:酢酸の生理機能性 山下広美(2014)
腸内細菌叢と心血管病 山下智也(2017)
食酢の多様な効用 小泉幸道(2021)

免疫力を高めて健康をサポートする

食欲増進効果

バルサミコ酢に含まれる酢酸には、免疫力を高める働きが期待されています。

酢酸は、唾液や胃酸の分泌を促し、細菌やウイルスの侵入を防ぐ働きを持っています。これにより免疫機能が高まり、風邪やインフルエンザなどの感染症の予防にもつながります。

また、胃酸の分泌が活発になることで消化がスムーズになり、食欲も自然に回復しやすくなります。しっかり食べて栄養をとることは、免疫力を保つうえでも欠かせません。

このように、バルサミコ酢は、免疫力の維持や強化にも役立つ調味料だといえるでしょう。

参考:酢酸菌利用の歴史と食文化 外内尚人(2015)
食酢の多様な効用 小泉幸道(2021)

バルサミコ酢の効果的な摂り方

バルサミコ酢の健康効果をしっかり実感するためには、日々の取り入れ方が重要です。ここでは、バルサミコ酢の効果的な摂り方を6つのポイントに分けてご紹介します。

  • 1日15〜30mlを目安に摂る
  • 継続的に摂る
  • 加熱しないで摂る
  • 食事と一緒に摂る
  • 自分に合った時間に摂る
  • 高品質のバルサミコ酢を選ぶ

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1日15〜30mlを目安に摂る

バルサミコ酢の摂取目安量は、1日あたり15〜30mL(大さじ1〜2杯)です。

実際に、バルサミコ酢を含む食酢を1日30mL摂取したことで、内臓脂肪や血圧の減少といった効果が見られたという研究結果もあります。

ただし、多く摂れば効果が高まるわけではなく、酸味による刺激で胃に負担がかかる可能性があるため注意が必要です。

酢酸やポリフェノールなどの有効成分を無理なく取り入れるためにも、摂取量は適量を守るようにしましょう。

参考:食酢の多様な効用 小泉幸道(2021)

継続的に摂る

健康効果を引き出すためには、継続して摂取することが大切です。

ポリフェノールや酢酸の働きは、体内に蓄積されるわけではないため、日々こまめに取り入れるようにしましょう。毎日ではなくても、週に3回ほど無理のないペースで続けることで、抗酸化作用や代謝のサポート、腸内環境の改善といった効果を実感しやすくなります。

実際の研究でも、バルサミコ酢を含む食酢を約3カ月間継続して摂った結果、内臓脂肪や血中中性脂肪などの健康効果が確認されています。

参考:食酢の多様な効用 小泉幸道(2021)

加熱しないで摂る

バルサミコ酢は、加熱せずに摂るのが効果的です。

酢酸は揮発性があり、ポリフェノールも熱に弱いため、加熱によって一部失われてしまう可能性があるためです。

そのため、摂取する際はお好みの飲み方で希釈して飲むか、サラダのドレッシングやマリネ、肉料理の仕上げに使うなど、できるだけ非加熱での活用がおすすめです。

なお、バルサミコ酢のレシピはこちらの記事で紹介しておりますので、参考にしてみてください。

食事と一緒に摂る

バルサミコ酢は、空腹時にそのまま飲むと胃に負担がかかる可能性があるため、食事と一緒に摂るのがおすすめです。

特に炭水化物や脂質の多い食事と組み合わせることで、酢酸が糖や脂肪の吸収をゆるやかにし、食後血糖値の急上昇を抑える効果が期待できます。毎日の食事に少量ずつ取り入れることで、より自然に継続しやすくなるでしょう。

自分に合った時間に摂る

どの時間帯に摂取しても、バルサミコ酢の効果は期待できます。

朝の目覚めにリフレッシュとして、昼食と一緒に、または夕食時の代謝サポートとしてなど、自身の生活スタイルや体調に合わせて取り入れることが大切です。無理のない形で楽しみながら続けることで、より高い効果が期待できるでしょう。

高品質のバルサミコ酢を選ぶ

バルサミコ酢の健康効果をしっかり得るためには、品質の高い製品を選ぶことが大切です。

特に、イタリアのモデナ地方やレッジョ・エミリア地方で伝統的な製法によって作られたバルサミコ酢は、本場ならではの高い品質が保証されています。さらに、長期間熟成されたものや無濾過タイプは、酢酸やポリフェノールなどの有効成分が豊富に含まれ、栄養価も高くおすすめです。

一方で、市販の安価な製品の中には、カラメル色素や香料、ブドウ果汁などを加えて風味を模した「バルサミコ酢風」のものも多く見られます。これらは伝統的な製法とは異なり、期待される健康効果が十分でない場合があります。

そのため、産地や熟成期間、無濾過・無添加かどうかを確認し、高品質なバルサミコ酢を選ぶことが大切です。

バルサミコ酢の効果に関するQ&A

バルサミコ酢は体にいいですか?

バルサミコ酢には、抗酸化作用を持つポリフェノール、脂質代謝を助ける酢酸、塩分バランスを整えるカリウムなど、健康をサポートする成分が豊富に含まれています。これらの働きによって、美容・血流・代謝・生活習慣病予防など、さまざまな健康効果が期待できます。

バルサミコ酢はダイエットに効果がありますか?

健康的なダイエットを目指す方におすすめの調味料です。バルサミコ酢に含まれる酢酸は、脂肪の代謝を促し、体脂肪の蓄積を防ぐ働きがあります。また、食後の血糖値の急上昇を抑えることで、脂肪の吸収を緩やかにし、満腹感を高める作用もあるため、食べ過ぎ防止にもつながります。

バルサミコ酢は白髪改善に効果がありますか?

バルサミコ酢に含まれるポリフェノールには血行促進作用があります。頭皮の血流が改善されることで、毛根への栄養供給がスムーズになり、白髪の予防や改善に役立つ可能性があります。ただし、白髪の主な原因は遺伝や加齢によるものであるため、バルサミコ酢はあくまで頭皮の健康をサポートする手段の一つとして取り入れるのがよいでしょう。

バルサミコ酢は便秘の改善にも効果がありますか?

毎日の食事に取り入れることで、自然なお通じの改善が期待できます。バルサミコ酢に含まれる酢酸やポリフェノールには、腸の働きを活発にする作用があります。特に酢酸には、腸内環境を整えることで便通を促す働きがあり、便秘解消をサポートしてくれるでしょう。

バルサミコ酢の一日の摂取量はどのくらいですか?

1日あたり15〜30mL(大さじ1〜2杯)が目安です。この量であれば、酢酸やポリフェノールの効果を得ながら、胃への負担も少なく安全に摂取できます。

バルサミコ酢はどのくらいの期間で効果が出ますか?

個人差はありますが、一般的には継続して2〜3か月ほど摂取することで、効果が現れる可能性があります。実際の研究でも、バルサミコ酢を含む食酢を1日あたり15〜30mL、12週間(約3か月)摂取した結果、体脂肪や血中の中性脂肪、血圧などに良い影響が見られたと報告されています。

参考:食酢の多様な効用 小泉幸道(2021)

バルサミコ酢は加熱調理に使うと効果がなくなりますか?

無くなることはありませんが、一部の成分は失われる可能性があります。酢酸は揮発性があり、ポリフェノールも熱に弱いため、加熱によってこれらの有効成分の一部が減少する可能性があるでしょう。なるべくサラダのドレッシングや仕上げのソースとして非加熱で使うと、栄養を効率よく摂取できます。

バルサミコ酢はいつ飲むのが一番効果的ですか?

自分の生活リズムに合わせて摂取するのがおすすめです。朝のリフレッシュとして、昼食時の血糖値対策として、夕食時の代謝サポートとしてなど、どの時間帯でも効果は期待できます。ただし、空腹時の摂取は胃への刺激が強くなる可能性があるため、食事と一緒に摂るのがベストです。

管理栄養士からのコメント

伝統的な伝統的な製法のバルサミコ酢は高価ですが、芳醇な香りや濃厚な味わいが魅力です。
抗酸化作用のあるポリフェノールを含むため、老化防止や美容効果に期待ができますので、女性には特に嬉しいですね。

ドレッシングやソース、煮込み料理やデザートなどに幅広く利用できますので、普段の食事作りに活用してみてはいかがでしょうか。バルサミコ酢とオリーブオイルを小皿に入れ、カリっと香ばしく焼いたバゲットにつけて食べると、手軽にバルサミコ酢の美味しさが味わえます。

管理栄養士:稲尾貴子

管理栄養士プロフィール

稲尾 貴子

公式サイト

管理栄養士として病院や保育園に勤務した経験があります。延べ1万人以上の栄養指導実績があり、得意分野は糖質制限や塩分制限、減量などの栄養サポートです。パン作りが趣味の2児の母です。食欲旺盛なこども達のためにパンを作り始めたところ、パンの奥深さに魅了されています。

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この記事を書いた人

農業と栄養について学んだ知識を活かし、食や暮らしに関する記事を執筆中。趣味は家庭菜園とお菓子作り。子どものために作ったおやつを、つい自分が食べすぎてしまうのが最近の悩みです。

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