菱六 助野彰彦 × 小倉ヒラク 「麹の勉強会 ~良い麹のつくりかた+活用方法
創業360年以上の老舗種麹屋である「菱六もやし」の当主助野彰彦さんと、
話題書「発酵文化人類学」の著者で発酵デザイナーの小倉ヒラクさんに
家庭でつくる麹づくりに関して語っていただきました。
 
第一回目の今回の記事では小倉ヒラクさんが麹づくりを始めたきっかけから
現在行っている活動についてお話いただきました。
トークショー 目次
  • 第1部 ワークショップについて
  • 第2部 素人目線から考える麹作り

  • 第3部 ヒラク流・麹の作り方
  • 第4部 質疑応答

2018-08-04

第1部 ワークショップについて
小倉ヒラク

お話しくださった方/小倉ヒラクさん

小倉
皆さんこんにちは、小倉ヒラクと申します。
お話を始める前に、まずこちらの動画をちょっと流しますね。
小倉
ちなみにこの歌、コーラスの部分ですね。寺田本家という千葉の酒蔵の麹室で録音しています。
多分、麹室の中でレコーディングしたの、世界初なんじゃないですかね。ちなみにその寺田本家の寺田優さんも、アニメの中に出てきます。(ヒラクさんのキャラクターが出てるシーンを指して)ここで、俺真ん中で踊ってるって。
(歌が終わって)ありがとうございます。

 

じゃあ、今日はこのアニメからスタートしてですね。
僕の仕事の結構重要な位置を占めている、麹づくり講座っていう、もう三年間やっているワークショップがあるんです。この場を借りて、一体どういうことをやっていたのかをお話したいと思います。
僕、普段、発酵はもっと、一般的な科学の事か効果的な事とか、そういう話が多いんですけど、今日は多分初めて、二度としないかもしれない、麹を作るっていうことだけを、ひたすら45分間延々と話し続けたいと思います。

小倉ヒラクさん製作の麹の歌

小倉ヒラクさん製作の麹の歌

小倉
僕はもともと、デザイナーだったんですけど、20代の後半、30なるかならないかの時にですね、あまりにも微生物の事をやりた過ぎて、東京農業大学っていうところの醸造科っていうところに、研究生で弟子入り、二年半ぐらいしてですね。

 

超文系、というか美術系だったのに、めちゃくちゃ理系の、ビーカーとかね、シャーレとかに囲まれた生活をするようになったんです。

 

その時に研究テーマを決めろと言われて、その時僕が考えたのは、ほかの友達で結構、自家製酵母のパンとか作っている人が多かったんですけど、自家製の麹作っている人っていないなって気づいて。

小倉ヒラクさんのトーク

大学の研究室で始めたのがきっかけ

小倉
それって難しいんですかって、担当の先生に聞いたら、
「やー実はね、(麹は)素人でも作れるんだよねー」って。
「俺は一応研究者の立場だから。素人でも簡単につくれますとは言いづらいんだけど。お前別に業界とかアカデミーを背負ってないだろうから、これから作り方の基本を教えてやるから、半年かけて素人でも作れる麹造り技術をまとめよう」って言われて。

 

それで半年間、二十歳ぐらいの子たちと、麹づくりのメソッドを作ってたんですね。
で、後で話しますけど、まー失敗しまくるわけですよ。僕、不器用だし。
本当にいろんな失敗を重ねて、何度も何度も失敗しているうちに、ようやくできてきたぞ、というタイミングでですね、Twitterとかブログで「麹が作れるようになってきたっぽい」って話をしたんですね。

ワークショップの様子

ワークショップの様子

小倉
それを見た友だちから、ワークショップやりましょうっていう話があって。当時2014年とかだったんですけど。
味噌づくりも今ほど流行ってないのに、麹作る奴なんているわけねぇだろって思っていました。でも一応Facebookとかでページ立ち上げて呼びかけたんですよ。
そしたら、(ワークショップは)まさかの一晩でソールドアウトになりました。実際やってみたら、みんな熱狂するんですよね。
「麹作るの面白い!」って言って。

 

それでその様子が参加者のFacebookとかTwitterとかのタイムラインに拡散されて広がって、また別の人からメールが届くんですよ。「(ワークショップは)次いつやるんですか?」って。
で、やったらやったで、また超キャンセル待ちになって。で、キャンセル待ちになった人からクレームが来るんですよね。
「(ワークショップは)次いつやるんですか!?」って。しょうがないから、それをライフワークみたいにしてやってきました。

 

 

三年間でアップグレードした麹ワークショップ

小倉
(資料を指して)この「麹づくり講座」っていうのを2014年の夏ぐらいからスタートして、もう三年ちょっと経つんですけど、累計1200人弱ぐらい受講をしてくれた人がいます。

 

多分この中でも受講してくれた人いるんじゃないかなーと。かわしま屋さんも来てくれましたけど。

参加者1000人突破

参加者1000人突破

小倉
基本的にはデザイナーって、渡り鳥的な仕事なんですよ。
新しいプロジェクトを立ち上げて、できたら跡を濁さずに立つみたいな。常に新しい事をずっとやっているような仕事なんですよね。

 

僕の中で、人生でこんなに一つの事をやり続けてることって、本当になくてですね。
自分の人生の中でここまでしつこいぐらい続けるっていうのはほとんどなかったんです。

 

三年間ずっと同じことやっているわけじゃなくて、段々アップグレードしていってるんですね。
素人が麹を作るっていうことの、色んな細かいポイントみたいなのを拾ってですね、参加者の人から色々やりとりしながら、アップデートし続けているわけなんですよね。
例えば、デザイン的な話で言うと、発泡スチロール箱の中で麹を育てるんです。

子供たちと作った麹の紹介

子供たちと作った麹の紹介

小倉
(手元にある手作りの麹を見せながら)
ちなみにこれ、この間子供たちと作った麹がここにあるんですよ。手作り麹が。
こういうのを発泡スチロール箱の中に入れて、ペットボトルとかで保温しながら発酵させていきます。

 

上についている丸いものは温度計です。
最初は温度計とかも武骨なのを使っていて。
発泡スチロール箱も百円ショップで買ったダサいやつだったんですね。

 

こういうのを使うと気持ちが上がらないから、発泡スチロールメーカーの人と相談して、新しい型作ってもらったりとか。
あとはすごくかわいい温度計を見つけて、それを超買い占める。
いっぱいワークショップをやっていると発泡スチロールメーカーから200個とか、僕は山梨の山奥に住んでいるんですけど、専用トラックがきて発泡スチロール箱を降ろしていくわけですよ。

 

集落の人は、完璧にあいつはなんの業者なんだ、みたいな感じなんですけど。
そういうキット開発からやってですね、なるべくだれでも楽しく作れるような環境にしてきました。

只今発酵中のシール

只今発酵中のシール

小倉
僕のパソコンにも張ってある「只今発酵中」ってシールがあるんです。これはですね、麹作るのって二泊三日かかるんですね。
二泊三日かかるから、仕事にもっていかないといけない人とかもいて、(麹の様子が)気になって仕事にもっていく、同伴出「菌」サービス。

 

(麹づくり講座に参加された)オフィスレディーの方は、会社の机の下であっためて発酵させるんですけど。
その時に、上司のおじさんとかから「釣り帰りかね?」とかいわれるらしいんですよ。
で、釣りではないってことを主張するために、このシールを作るとかですね。いろんな工夫がこの三年間分ぐらい蓄積して成り立っているワークショップなんですね。

 

 

口コミで広がった麹作り

小倉
麹って多分田舎で、給食センターのおばちゃんとか農家とかが麹を作って、味噌仕込みましょうみたいな機会が多かったと思うんですよ。
僕もそういうの参加したことがあるんだけど、若干ね、そこに疑問を持ったの。

 

なんの疑問かっていうとね、味噌作るにおいて「甘さが微妙じゃないか?」とかね。
「これはちょっと・・・。」ていう感じがあったんです。
初期の頃(麹づくり講座には)いちご農家のお客さんとマクロビの料理教師やっている人と、自家製酵母でパン焼いている人が一番多かったんです。

 

何しに来たのって聴いたら、例えば砂糖を使わないでお菓子を作りたいとか、甘酒からパンを作りたいって人がすごく多かったんです。
ていうことはさ、甘くならないといけないんだよ、甘酒が。甘酒というか麹がね。

ワークショップについてのお話

ワークショップについてのお話

小倉
最初、僕が作っていたメソッドって、割と一般的な麹だったんですけど、これは要望を聞いて、ネットとかを検索して出てくる一般的にかいてある麹のつくり方から微妙に麹作りの方法論を変える必要があったんです。

 

僕は今、半分科学者、サイエンティストみたいになっています。生物学者ですね、色々やっているんですけど、もともと僕、そういう科学が好きだから。ワークショップやっているうちにどんどんメソッドが科学的なっていくっていうのがあって。
酵素がどうやって働くのかとか、なんで温度がこの温度にならなきゃいけないのかとか、そもそもカビとはどういう生き物なのかみたいな。科学の講座兼仕込みワークショップみたいな方法論になってくるんですね。

 

これ2016年くらいの第5期、それが今第6期まできていて、そのたびにちょっとずつアップデートしているんですね。
ウェブのサービスみたいに。
この時が一つの完成点に近い状態で、みんなで顕微鏡見てカビの胞子を確認するところまでやるみたいな、そういう時ですね。

 

2017年の春先くらいに、受講者が1000人くらいまでいって、そうしたら口コミで「麹づくりが面白いらしい」みたいな感じでですね、発酵業界以外でも話題になって。

雑誌でも紹介された

美術手帳の表紙

小倉

これは美術手帳っていう現代美術の老舗雑誌なんですけど、その表紙、僕が麹を作ってるっていう、美術となんの関係あるがあるんだよって話なんですけれども。

 

今まで買ってたものとか、或いは麹って基本的にはそのままでは食べれないので、裏方ですよね、すごく重要ですけど。
で、そういうのを自分で作るっていうムーブメントが、美術の視点からしても面白いっていうところで、結構いろんな所へ波及していったんですね。

 

それで、麹っていうものが今、僕とか、ここに来ていらっしゃる皆さんもそうだけど、この世代の僕たちは色々発酵でやってる麹でやってるっていうことが、だんだん単純な健康とか、食を超えた一つのムーブメントみたいになってきたなと。
そういうのを感じたりしています。

 

 

海外でも注目されている麹

小倉
最近海外に呼ばれることも増えてきまして、これは2017年かな、麹を海外の人と一緒に作っているところです。
これ微生物学会でやっているんですね。
海外のプロバイオティクス学会ってとこがあって、発酵性健康機能性食品学会ってありますけど。

 

海外の発酵食品、微生物を使った健康食品って、90%以上乳酸菌なんですね。ヨーグルト系の。
僕は(ヨーグルト系の微生物関係者とは)別の枠で呼ばれていて、完璧イロモノなんですけど。(麹菌って)カビだからさ。カビってほとんどいないんですよねぇ。
海外の学会とか超面白くて、微生物学者同士であいさつするわけですよ。

 

例えばパキスタンから来たとか、ブラジルから来たとか。
そしたら、お前の菌はなんだ、みたいな、ポケモンのカードを出し合うみたいな感覚なんですよね。
俺は「ラクトバチルス・デルブリッキ!」みたいに。「僕はアスペルギルス・オリゼだ」って言うと、けっこうみんな嫌な顔する。
「え?あの毒出すやつ?」みたいに。

海外でも話題に

海外でも話題に

小倉
アスペルギルス・オリゼっていう、麹カビなんですけど、アスペルギルス属のカビっていうのはですね、結構検疫リストで危ないやつの上位にくるやつなんです。
発がん性のある毒を出すやつなので。なので、アスペルギルスやってるっていうと「お前来る場所間違えてるんじゃないか?」みたいな感じになるんです。

 

麹カビって不思議なもので、全然毒はなくて、むしろ人間の体にいいものをいっぱい作ってくれる。
そのような麹のガイダンスみたいなことをしながら、(「こうじのうた」を)海外に人たちと歌って踊って。

 

結構有名な、世界的に有名な微生物学者とかいっぱい来ているんですけど、割とみんなノリノリになるっていう楽しい会なんですけれども。
そういうふうに結構麹を作る、何かを仕込むっていうこと自体も、日本だけに留まらなくなってきています。

教材として絵本にも

教材として絵本にも

小倉
それで、ワークショップやっている途中に、教材として絵本にしようという話があって。
おうちで簡単麹造りっていう、親子で楽しめる絵本とか出て。
これは話題になって、色々DVDとかもついているので、遊べるみたいな。

 

こういうのでだんだんだんだん麹づくりが広まっていって、一番多い時、月15回ぐらいやったことあります。
月15回やっても全部満員でした。
2016年の終わりぐらいかな、なんでみんなこんな麹作りたがってるんだろうみたいな。

 

「麹に侵略されてるんじゃないか?」みたいなふうに思っちゃったなんかするんですけど。
そういうふうにだんだん、もちろんここに集まっている人たちも麹づくり教えている人たちもいると思いますけれども。
新しい定番として、お味噌づくりの次の定番ワークショップとして、今盛り上がってきてるっていう現象を僕、過去三年くらいかけて感じてきてます。

会場の様子

会場の様子

2018-08-04

第2部 素人目線から考える麹作り
素人目線から考える麹作り

お話しくださった方/小倉ヒラクさん

小倉
で、そんな経緯でやってるんですけど、今回、もうちょっと立ち入って、技術的なところを話してみると。僕は、プロの麹を作る人ではないので、素人の目線なんですよね、三年間。
もちろん麹作りのプロの方にもずっとみていてもらったりもするんでプロの作り方もある程度知っているんですけども。

 

プロの人がつくる麹づくりを素人の人が出来るようにするっていう発想じゃなくて、僕の発想って、素人でもそんなに無理なく麹を作るようにするっていう考え方なんですね。
だから組み立て方が違うわけですよ。

誰でもできる麹作りを目指す

誰でもできる麹作りを目指す

小倉
普通の人のアプローチだと、プロの作っていた麹の作り方を簡単にしていくっていう考え方なんですけど、僕の場合だと素人が違和感なく作れるようなもの。
麹ができる原理っていうのを知ってそこからゼロから構築していくっていう考え方があって、そういうやり方でやっているんですね。

 

端的に言うと、麹ってこういうことだろって話なんですけれども。
蒸したお米にカビの胞子つけて保温したら麹になるんですよ。

麹の基礎とは

麹の基礎とは

小倉
こんなこというと、(発酵の)業界とかからすごい怒られるけど。
はっきり言ってそういうものです。

 

例えばみりんとかも。みりんの原理とかも水の代わりに焼酎で仕込んだ甘酒でしょ?
そんなこと言ったらみりん業界の人に怒られるけど。
原理的なことから考えていくと、麹ってそんな難しくないなって僕は思うんですね。

 

ただ、「お米を蒸す」「カビを付ける」「手入れしていく」っていう3つぐらいのプロセスがあって。
さらにツボみたいなのがいっぱいあって。麹カビってほったりかしではともかく、あまり育ってくれないやつだから。酵母とかと違ってね。自家製酵母つくるのと。
じゃあどうやって麹カビを励まし、どうやって麹カビを甘やかすか。そういうことを考えていくと、素人でもちゃんと作れるようになる、っていう話なんですね。

 

ちなみに僕の麹づくりワークショップの特徴としては、業界っぽい言い回しが一切出てこないっていうのがあります。「盛る」(麹蓋に麹を移す作業の呼称)とかだったりですね、よく使われる出麹(仕上がった麹を室から出す作業の呼称)とかも言わないですね。

麹作りに必要な道具

麹作りに必要な道具

小倉
みんなが作るとき何を集めればいいかみたいなことを考えているんですけど、お勧めの蒸し布はIKEAのエリ(ELLY エリ キッチンクロス)ですね。
サイズ丁度いい。僕、IKEA行くとこれ100枚くらい買うんですよ。レジのお姉さんドン引きですよね。
温度計はね、僕ドリテックてとこのを使っているんですけど、丸い奴がデザイン的にかわいいんだけど、おうちでやるときね、この温度計が一番面白くて、室内計になっているんだけど、麹の温度と部屋の温度を簡単に見分けられるのね。

 

だから冬とかにやると、部屋10℃なんだけど、麹42℃とかすごいことになってるんですよ。
そういうのは、生き物が動いている感じがしてとても楽しいですよね。
そういうふうにしてやるんですよね。

皆で共有し広がる麹づくり

皆で共有し広がる麹づくり

小倉
僕は麹作りのメソッドをある程度形にしていくときに大事だと考えたのは「難易度の設定」なんです。
どれくらいの難易度にしたいかっていう。それを「餃子を一から作るぐらいの難易度」というふうに設定したんですね。
餃子って1から作ると面倒くさいでしょ。

 

小麦こねて、ミンチにして、、とか。
でも、頑張ればできるじゃないですか。
あれぐらいの感じで、家で麹作れたらいいなっていうのが僕の基本的な狙いです。

 

もっと言うと、都会で一人暮らししているシティボーイシティガールが、無理なく作る。
麹の交換とかしちゃって、恋とか始まったら良いな、みたいな。
そのうち、それがお洒落みたいになって、ポパイとかに載ったらいいなぁとか思ってました。そしたら色んなカルチャー誌に載ったので、夢が叶えたと言えるでしょう。

 

 

皆で共有し広がる麹づくり

小倉
僕の麹づくりワークショップのやり方を使って、人に教えてもいいよっていう風にしています。多分僕のワークショップに参加された人から10人以上の麹の先生が出てるんじゃないかな。
基本的に僕に連絡しなくていいし、仲介手数料もとらないから勝手にやっていいよって。

 

さらに「これは私がつくったメソッドです!」って言い張っても良い、って事にしています。一番すごい先生になった人が九州にいて、これまでに100人以上教えてて、多分僕よりも教えるのうまいっていう子が出ていたりしています。

皆で共有し広がる麹づくり

皆で共有し広がる麹づくり

小倉
(Facebookグループページをみせながら)おうちで簡単麹づくりコミュニティっていうのがあって、超やばいんですよ。これ、二泊三日でやります。
仕込み二泊三日でやると大変だから、終わった後フェイスブックで連絡とるんだけど、
ここに僕はスレッド立てるんですけど。コメントのところに、みんながね、お米の接写画像をやたらアップするっていう。

 

(グループの投稿を見せながら)あと甘酒の様子か。こういうの。
菌がどれくらい入ってますみたいなのを、みんなでシェアしちゃって。

 

(人の麹の様子を見て)育つの早い!私のはまだそんなに育ってない!!みたいなのを事をやりとりしているっていう感じで。

ここの中から実は新しいレシピを編み出す人とか、僕が最初絶対素人には無理だっていってた玄米麹を成功させるお姉さんとかでてきたりして。玄米麹いけました!みたいな。
じゃあそれどうやって作ったの、レシピ共有しよう、みたいなので、グループ内でさらに進化をしていってるっていうやつなんですよね。

 

こういう経過で麹づくりっていうのは草分け的に広がっていって、まぁ1,000人以上情報交換したり。ワークショップしたりっていうのがこれの現状なんです。

皆さん写真やメモを取り、熱心に聴いていました。

皆さん写真やメモを取り、熱心に聴いていました。

2018-08-04

第3部小倉ヒラク流・麹の作り方
ヒラク流・麹の作り方

お話しくださった方/小倉ヒラクさん

小倉
麹をつくるときの材料は、基本的には種麹でお勧めしてるんですけど。実は麹を種にして麹作ることもできて、どうしても種麹が手に入らないとか。
あとはどうしても自分で麹を増やしていきたい人は、実は自分でつくった麹っていうものを、さっき言った麹、出麹、たぶん麹づくりが終わった後に霧吹きとかかけてもこもこにしていくんですね。
もこもこにしていくやつをフレーム状にして、それを種麹使うみたいなこともできる。そういうやり方もあるよとお勧めしております。

 

あとはお米。お米の種類って麹の仕上がりに関係あるのかなって思って。お米集めて品種とか等級とか、本当にいっぱい実験しました。
オーガニックか違うやつかとか、いろいろやってみたんですけど。結論から言うと素人が作る分には、お米は結構何でもいい。正直なところ。

お米にはあまりこだわらない

お米にはあまりこだわらない

小倉
ただ僕がよく言っているのは、最初はまぁまぁのコメを使えと。
むっちゃこだわったお米使って失敗するとすごいがっかりするっていう話。自信がついてきたら良いお米使いなさい、っていうんですけど。
もううるち米だったらね、正直品種はこだわらなくて良いかもしれない。僕は仕上がりの違いは多少はわかるけども。僕は山形のつや姫が一番好きなんですけどね。初めての方にはほとんど関係なくてですね。お米は好みでどうぞって感じで話しています。

 

玄米でも麹は実はできるんだけど、初めてでいきなり難易度が高いところから挑戦しようとする人結構多いんですよ。
オーガニック食好きの人とか。
僕はそれに待ったをかけて、まず普通のでやってよって言います。

始めから難しい麹作りは行わない事が大切

簡単な材料からはじめるのがおすすめ

小倉
「空中から自然の種麹をおろしてくる」とか。
「高価な有機玄米をつかっていきなり作る」とか。
この辺はもう討ち死にパターンですね。

 

否定はしないけど。何だろう、、。ハタチぐらいで大学デビューする女の子が、いきなりギャルソンとか着てもおかしいじゃん。
まずはそこはGAPぐらいからではじめた方がいいんじゃないの、みたいな感じです。

 

そういう事があるので、これから麹づくりを家でやりたい人がいたら、あんまり材料にはこだわらないでやるのがおすすめなんですけど。
とりあえずお米を蒸したらばらして菌をつけて箱にしまって保温していくみたいな、ことでやってみるべきだと思うんです。

発酵のポイントを語るヒラクさん

発酵のポイントを語るヒラクさん

小倉
発酵で大事なのは麹菌の餌と温度と湿気かな、色々見ていて思っていて。
この3つをコントロールして、気持ちよくほったらかしていくっていう。
麹菌の餌っていうのはお米の事ですね。

 

麹菌の餌はお米のデンプンとかたんぱく質。そして麹をつくっていくときは、温度と湿気を頑張ってコントロールしていくわけですよ。
以前中国の麹のルーツを探した時に、中国の麹を見つけたんですよね。
中国の麹とかって露天に適当に売られてて。中国は露天のざるの上に置いて売ってあった。麹が。麹を作る環境も、麹室じゃなくて屋台とか屋根のない所で。

 

それに比べると日本の麹ってすごい甘やかされてる感がある。それを見て中国の麹と日本の麹でどういう原理が違うんだろうってことを考えたんですね。
中国の麹って「もち麹」って言って、水で雑穀を砕いてそれを練っていくんですよね。
おもちみたいにして練っていって、そこに「クモノスカビ」って言う麹カビの親戚みたいな、カビとしてはかなり離れてるんだけど。
    麹カビと似たようなことをやる菌をくっつける。

中国と日本の麹の違い

中国と日本の麹の違い

小倉

中国のもち麹に対して日本の麹は「バラ麹」」って呼ばれていて、お米をバラバラにしてそこに麹カビをつけていくんですね。
この違いがすごく重要で。ようするに日本の麹づくりっていうのは、バラ麹の特性をいかに活かすかっていう話になってくるんです。

 

 麹を作る時ってまずはお米を蒸す。素人でもここでちゃんと蒸せればとりあえず麹らしいものはなる。おそらく6、7割は。
何で蒸すのか。僕は「蒸し米だよ、飯米じゃないよ!」っていつもいってるんだけど。普段の生活ではお米を蒸したことない人って多いよね。
初めての人で麹づくりのよくある間違いが、麹を作るときに炊いちゃうんだよ、お米を。

 

お米を炊いてしまうとどうなるかっていうと、お米同士がくっついちゃうの。
くっついちゃうとどういうことになるのかっていうと。ちょっと説明しましょう。

麹カビの特徴

麹カビの特徴

小倉
(資料を指して)麹カビっていうのは根っこじゃなくて、上のほうがすごく延びるんですね。
で、そうするとどういうことになるっていうとさ、さっきのもち麹ってお団子状になってるじゃん。
あれって深さがあるでしょう。だから、根っこをいっぱいくいこませてくためには、あのもち麹の状態がいいんだけど、日本の場合はそこまで根っこが張らないから、深さよりも表面積が大事なんだよ。

 

わかりますか?(日本の米麹づくりの場合は、麹菌がはえていくためにお米の)表面積が大事なんです。
だから、お米をバラバラにしなきゃいけないの。
炊いたお米がくっついてしまうとその分表面積が犠牲になってるから、麹カビにとっては不利なんだよね。

 

なので、僕はワークショップやるときに「とにかくまずは蒸す」という原理を徹底的に教えることから始めたんですね。
だから「絶対炊いちゃだめだ!蒸すんだ!」みたいな。「お米を蒸せ!蒸すためにはこうだ!」みたいなことをずっとやってったんです。
でも麹づくりの素人の僕らからすると「蒸す」って未知な行為じゃないですか。

 

なので麹づくりの一番最初のハードルは「どうやってうまく蒸せるか」っていうとこだと思っています。
細かい話になると金属の蒸し器より、蒸籠(せいろ)の蒸しのほうが超良い。

蒸しには木製せいろがお勧め

蒸しには木製せいろがお勧め

小倉
比較してみたんだけど。金属の蒸し器だと、金属の部分が熱持ちすぎて、お米を蒸しすぎるか、焦がすかどっちかになりがちなんだよね。
だからこういう木製せいろがいいんだけど。僕たぶんね木製せいろのセールスにすごい寄与してると思う。
せいろ業界の諸君、感謝してほしい。僕きっかけでたぶん百名以上蒸籠を買ってると思うんですけど。

 

そういう細かい点。細かいことの積み上げなんですよね。
麹をつくるっていうのも。
(資料を指して)こういうのもワークショップのときに使っている資料なんだけども、これすごく重要な図で、麹って何なのっていう話なんですよ。

 

お米の中にデンプン質とたんぱく質っていう二つの主要成分があって。麹って二つのハサミ、酵素を持ってるんですね。
さっきのアニメでも酵素でチョキチョキやるってあったと思いますけど。
おおまかに言うとアミラーゼとプロテアーゼっていう2つの酵素があって、2つの酵素がデンプン質を甘みに変えて、たんぱく質をうまみに変えていくっていうそういうことをやってくわけですよ。

甘みと旨味のお話

甘みと旨味のお話

小倉
うまみとあまみをの為に酵素があって。麹づくりでは温度とか湿度とかお米の蒸し方を変えて、酵素をコントロールしてるんですね。
いろいろ実は麹づくりのために、僕はいろんな醸造蔵をまわってきたんです。お酒だけじゃなくて、味噌とか、醤油とか。あと豆腐よう(豆腐を使った沖縄独自の発酵食品)とか。
他もみりん屋さんとかお酢屋さんとか、いろいろあるんですけど、

 

 いっぱい行ってみて気づいたんですけど。「麹づくりに正解はない」って。究極の麹というものは存在しなくて、つくった麹を何に使いたいのかの違いだけが有る、みたいな話になってくるんですよね。
それに気づいて。
例えば酒麹っていうのは、甘みっていうのを最大化するわけですよ。

 

究極の麹は存在しない

究極の麹は存在しない

小倉
デンプンをグルコースに変えるっていう。
逆にたんぱく質が多くなりぎると雑味があってお酒的にまずいんじゃないかっていう感じなんですね。
だけどお味噌とかって結構バランスよくアミノ酸もグルコースも出してあげると良いとか、逆に醤油麹とかグルコースをなるべくシャットダウンして、うまみを作るアミノ酸だけやると良い、みたいに酵素のバランスをとっている。

 

わけですよ。
だから酵素の量とバランスっていうものをどうやってとっていくのかっていうことが、だから麹をつくるっていうことは微生物の酵素を使ってお米からどんなものを取り出したいかっていうお話になってくるんですね。
それをイメージしながら作っていくっていうことが麹をつくるってことなんですね。

 

で、麹作るときにすごいポイントなのが、温度が低い状態から高くなってこんな直線じゃないですけど、こういう感じで温度を火つけてあっためなきゃいけなくて、本当はこういう直線じゃなくて、こういう感じになっているのね。

品温経過のグラフ

品温経過のグラフ

小倉
これを僕、「ロングバケーション曲線」と呼んでいるんですよ。
ロングバケーションってほら、あるでしょトレンディドラマ。
これ分かるって言うと年代がバレますけど。ロングバケーションの二人(木村拓哉と山口智子)ってほら、最初は微熱から始まるじゃないですか。ある時を境にすごく盛り上がって、二人の気分が高ぶるでしょ。

 

麹もああいう感じにしたらいいのよ。
麹づくりのプロの人達はそういう温度管理をしていて。なんでそういう風にするのかなって、微生物学的にひも解いてみると、酵素をバトンリレーさせていくんですよね。
麹づくりは二日間あるんだけど、一日目は温度が低いので、うまみを出すプロテアーゼっていうのがいっぱい働いて、二日目になると温度が40℃くらいまで上がるからちょっと甘みを作るアミラーゼっていうのがいっぱい働いて。酵素がバトンリレーしていくんですよ。

 

で、この曲線を逆にするとどっちも(プロテアーゼもアミラーゼも)ダメになるのね。
それなんでかっていうと、アミラーゼっていうのが二種類あって、デンプンをやわらかくするアミラーゼとそこから甘みを作るアミラーゼの二つあって、それを温度低い高いの順番にいれていかないとうまく働かないから。だからロングバケーションをイメージして二日間温度管理をしろって言ってるんですよ。

ロングバケーションをイメージする

ロングバケーションをイメージする

小倉
「今は盛り上がるところだ」とか、「今盛り上がりがピークで頑張って落とさないときだ」とか。
そういうイメージをしながら麹を作ってもらうんですね。

 

究極を言うと、麹づくりのハードルは二つなんです。
一つは「蒸せるかどうか」なんです。
ちゃんと、お米をパラパラにする。お米は蒸すのであって、炊かない。
もう一個がこのロングバケーションをイメージしながら、湿度と温度をキープオンできるか。
この二つをクリアすると、一応甘酒にできる麹に仕上げられます。

 

自家製酵母みたいなものと麹づくりが一番違うのって、ここのポイントで、微生物の働きとか酵素の働きをイメージしながらじゃないと、なかなかうまく成功しないってところがあるんですよね。
紆余曲折あって僕が辿りついた、麹づくりにおいての正解っていうのはこの(品温経過の)曲線なんです。
この曲線は、言ってみれば味噌屋さんの麹と酒屋さんの麹のちょうど間ぐらいの感じで、うまみもあまみも両方出て、甘酒も作れるし塩麹とかにしてもいいよ、みたいな麹ができます。
何かに特化したスーパーな麹ではないけど、一般の人が使う分だったらオールマイティじゃねぇか、みたいな感じの麹の作り方を目指してやっているんですね。

会場も真剣です

会場も真剣です

小倉

で麹作るときみんな悩むのが温度が上がらなくて外に出せないところ。
なんか、うちの子はいつになったら自分の部屋をでるのかしら、みたいな。
ひきこもり、みたいな。
逆に24時間たって様子みてみたら、温度が45℃以上になってて、元気すぎるみたいな。

 

麹をほっておいて納豆にしてしまったとか、僕もあるんですけど。
麹ってほっときすぎると納豆になっちゃうんですよね。

 

こういうのをイメージしてもらえればいい。
これ、重ね合わせていくと、こういう温度がふわっと上がっていくときって、菌糸が生えて、さらにこっから胞子がばっと上がっていくときにできてくるから、こういうのをイメージしながらやってねということをいってるんですね。

 

 

いい麹は甘みがある

小倉
日本人にとって発酵とは何かってていうでかい話してるんだけど、個人的にはオタクなんで、こういう話してるのが一番楽しいですね。
で、甘酒とかも本当はね、麹と水だけで作ると己の実力が丸裸になって最高なんですよ。

 

自分の麹の実力はどれくらいっていうのは、お米をいれないで麹だけで甘酒を作るとすげーわかる。
正直ね、普通に作ればうまみは出るわけ、温度30℃くらいはほっといてもキープできるから。
だけど、良い麹になるかっていうのはとにかく甘みがでてるかどうかって話。なのでさっぱり甘い甘酒っていうのを目指さなけらばならないんだよね。

さっぱり甘い麹を目指す

さっぱり甘い麹を目指す

小倉
でもちょっとね、麹づくりの後半戦をサボると仕上がりがすっぱくなるんですよ。
で、これがね、甘くならない麹の原理なのね。
後半戦の麹って乳酸菌の餌の塊みたいになってるから、温度40℃以上にキープして、乳酸菌より麹が一番元気な時、乳酸菌に負けない状態にしないとね、酸っぱくなったりするのね。

 

そういうようポイントはいっぱい有る。
このカビを育てていく技術っていうのが日本の発酵の一番重要なとこなんですよ。
代表的なところだと「醸造」っていうんですけど、日本の発酵食品のクオリティっていわばすごい繊細なテクニックの積み上げの上にできたものなのね。

 

麹っていうものを使ってさらにそれをスターターにしてお酒にしたりとか、味噌にしたり醤油にしたりとか。いろんなものを作っていく、逆に言うと麹がうまく作れないと、どんだけその先のステップを頑張っても、おいしい発酵食品ってできないんですよね。
だから発酵食品のこと知りたかったら、自分で麹つくると原理がいろいろわかっていいんじゃないかっていうのが僕の考え。

 

 

良くある問題1 お米乾きすぎ問題

小倉
麹づくりで良くある悩みの一個は、お米乾きすぎ問題っていうのがあります。
お米の量を少なくしてつくるとね、どんどんお米が乾いていくんですよ、で、乾いていくのって、プロの酒屋の麹だとけっこう大事なのね。
むしろ頑張って乾かして行って、スリムビューティー型にするんだけど。素人のつくる麹だと乾きすぎて、あんまり菌が入らなくて、微妙な麹になるみたいな問題がおこる。

 

かつてはは発砲スチロール箱の中に、新聞紙入れるとかいって水分吸い取るみたいなことやってたのよ、麹がびしょびしょになったりするから。
そういうのは今省いてて、今は「水分は足せるだけ足せ」、みたいな。
なんなら乾いてるなって思ったら、霧吹きかけよ、みたいな。
プロからは絶対怒られるようなことやってる。でもこっちのほうが成功率があがるんですね。

固く蒸しすぎ問題

良くある問題2. 固く蒸しすぎ問題

小倉
で、あと固く蒸し上げすぎないほうがいい問題っていうのもあって、これはやってる人たちしかわからないと思うけど、普通そのかわしま屋さんのレシピとかでも、40分とかって書いてあるんですよ。
お米を蒸す時間が40分。

 

40分でやると本当にパラっぱらにほぐれて、すっごい綺麗な麹向きのお米になるんだけど、これね、温度管理がちょっと難しいんですよね。
適切に湿度管理をしないと、菌がちゃんとお米に入っていかないので、やや蒸しすぎたほうがいいってことに最近気づいた。
なので、僕は今、蒸し時間は50分っていってます。50分。

 

なんなら55分くらいでもいいんだけど。
それぐらい蒸すとですね、ちょっとやわらかくなるので、ばらすのは大変なんだけど。
そうするとね、菌がお米に一番最初に入っていきだすので、最終的な麹のクオリティがあがる、ということに気づいてですね。

 

そういうふうに標準のやつはあるんだけど。リスクをね、どうとるか。
例えばプロの麹づくりでお米をゆるゆるに蒸すと、酒屋さんでは意図的にやってるとこもあるんだけど、麹のクオリティが、酒麹としては落ちる。
でも素人の麹づくりって、100点じゃなくって70点ぐらい取れれば良いんだよ。
素人の麹づくりって。70点出すためには、むしろちょっと蒸しすぎたほうが良いとかね。

蒸し具合について語るヒラクさん

蒸し具合について語るヒラクさん

小倉
あとは、菌。菌入れなさすぎ問題というのもあって。
これもだんだん気づいてったんだけど、(種麹の商品説明は原料米に対して使用する種麹の規定量が)1kg:1gとかの表記になってるのね。

 

素人だと(原料米)1kgに対して(種麹)1gって少なすぎるんだよ。
だから、種麹は3gとか5gとか多く突っ込んだほうがいいです。
それはどういう原理なのかって言うと、下北沢の屋根裏(ライブハウスの名前)でインディーズのライブのするときに、クラスのやつに「おい山田。チケットただでやるからさ、前で盛り上がってくれよ」とかサクラをお願いする。ああいう感じなんですよ。
いっぱいサクラ(麹菌)を入れると、熱上がりやすいので。

 

とにかく素人がやると量が少ないから、熱があんまでない。
だけど、プロが麹を作るときってすごいお米の量でやるから、熱がですぎるので、だからどんどん入れる器を変えてったりするわけですよね。
盛りを変えてったりするわけ。でも、正直そういうのをやるとアウトなんですよ。素人用の分量だと。

慣れるまでは多めの菌を使うこと

慣れるまでは多めの菌を使うこと

小倉
素人なんで少ない量がいいんです。
例えばこないだ子供たちと麹づくりをやった時どうやってやったかっていうと、切り返しって言ってお手入れするのは一回だけで、あとはそんなに触んない。

 

途中から暑かったら発砲スチロールから出して、ビニール袋にするだけっていう。
ただビニール袋に入れて放置するだけっていう。これでやってるんですけど、実はこれでも麹になるんですね。子供たちが作った麹、わりといい出来なんで、ご興味ある方はあとで見に来てもらえるといいと思うんですけど。
実はそれぐらい負担なくてもできるみたいな話があって。で、ここくらいまでやると、最初に言った「餃子を1から作る」ぐらいの感じで麹を作れるというか。
なっていると思います。

 

ではそんな感じで、麹の勉強会らしい話をしました。ありがとうございました。

2018-08-04

第4部 質疑応答
質疑応答

お話しくださった方/小倉ヒラクさん

司会者
ありがとうございます、みなさん。では、皆様のほうからヒラクさんにご質問あるかたいらしたら…
小倉
すごい難しい質問きたら助野さんにパスします。
質問者1
えーっと今まで作った麹の中で、コメ以外玄米とか、それ以外に何か変ったもの麹にされたことありますか。
小倉
僕自身は麦くらいしかやったことないんですよ。ただ、奄美大島で独自の技術があるんですけど、ソテツの実ってあるでしょ、トロピカルな赤い奴。
あれを割って空気中の微生物で解毒して、ホルムアルデヒドっていう毒があるんだけど、それ分解したあとに、それで麹をつくる。

 

粉にしておだんごにして、もち麹みたいな原理なんですけど。

 

これは結構腰が抜けました。
ソテツおじさんっていう人がいるんですよ、僕勝手に呼んでるだけなんだけど。昔やっていた技術を継承してる人がいるんですけど、そのおじさんに呼ばれたんです。

 

そのおじさんと、黒糖焼酎を飲みながら昔話聞いてたら、今はホルムアルデヒドを解毒してやってるんだけど、かつては解毒してなかったらしいんですよね。

 

で、どうやってやってたかっていうと、魔法の蓆(むしろ)っていうのがあって。
蓆文化っていうのがあるんですよ、いろんなとこに行っていると。
昔は村に一枚あの蓆があって、その蓆で包むとなんでも麹になったみたいな。本当かよ!?みたいなのがあるんだけど。

 

その村でずっと大事にしてたその筵があって、ソテツを粉に、さっきのもち麹みたいにしてそれを蓆の中にやっとくともこもこして麹になって、
そのまま食べれてなにも毒はなかった、、。みたいな。本当、、?みたいな話があるんですけど。それはちょっと確かめに行きたいなと思ってます。全然質問の答えになってなかった。ごめんなさい。

質問者1
ありがとうございました。
質疑応答されるヒラクさん

質疑応答されるヒラクさん

司会者
では次は女性の方どうぞ。
質問者2
楽しいお話を本当にありがとうございました。
小倉
すごいマニアックだったけど、大丈夫だったかな。
質問者2
あと三時間ぐらいお話したいことがいっぱいあるんですけど、さっきのロングバケーション曲線のときの一言で、元気が良すぎて納豆になっちゃったっていうフレーズがあったんですね。
糸を引いたって意味ですか?
小倉
糸を引くまでではないんですよ。納豆作りしたことあります?
納豆って温度管理ちょっと低いと、ちょっとすっぱい、ちょっとぬるっとする納豆みたいのできるでしょう。
質問者2
糸を引かない納豆臭の煮豆作ったことあります。
小倉
ああいう感じになりますね。
質問者2
すっぱい感じになるんですね。
小倉
そう、ちょっとすっぱい、ぬるっとしたすべり麹って言うらしいんですけど、僕も2回くらい作ったことがあって、すっごい残念な気持ちになりましたね。
質問者2
香りも全然麹っぽくないんですか?
小倉
そう、なんか変なにおいする。ぞうきんみたいな匂い。
質問者2
そうならないようにこれからも作っていきたいと思います。
小倉
40℃、みてると酒蔵とかでもMAX温度大体40、3.4℃くらいとか、高いところは45℃くらいのところもあるけど、45℃くらいの際にね納豆菌とかと戦うラインにはいってくんだよね。麹が。

 

で、温度が高くなっていくと納豆菌のほうが勝っちゃうから。
でも、納豆はフィニッシュしきれない、微妙に45℃とか43℃とか低いみたいで、糸引き納豆になりきらない中途半端な納豆的麹になるっていう。

 

なんともいえないものになりますね。
世の中にはそういうのも好きだって言う人いるみたいですけど、僕は全然おいしいとは思いませんでした。

質問者2
ありがとうございました。
たくさんご質問される方がいらっしゃいました

たくさんご質問される方がいらっしゃいました

司会者
では最後にもう一問だけ。
質問者3
すごくおもしろい話でした。ありがとうございます。発酵文化人類学も読ませていただきました。質問ですが海外で麹を作られる方の出来はどうなんでしょうか?
小倉
海外でアスペルギルス・オリゼとかおろしてる人みたことない。

 

挑戦したけどみんな討ち死にしてて、お米どがろどろに溶けたとかいってるんで、多分。
基本的にはアスペルギルス・オリゼは日本なんですよね。余談なんですけど、2年くらい前にね、同じアスペルギルスを守護神とする研究者に会いました。

 

それはね、スペインでした。
生ハムを作る麹、鰹節状の麹みたいな。

 

それを作る鰹節麹に似たようなやつがいるんですけど、それは「アスペルギルス・イベリコス」って言うんですね。
「イレイオン」だ。

 

それで、鰹節みたいなの作るんだよね。
で、やっぱりカビだから、日本とかにはおろせないって言ってました。

 

だからアスペルギルス自体日本だけじゃなくって、そういうところで使われてる例もあ
るってことを知りました。びっくりしました。余談ですけど。

質問者3
ありがとうございました。
小倉
さてもう、僕の話はここらへんでいいね、そろそろ助さん(菱六の助野彰彦さん)がね。
司会者
ヒラクさんありがとうございました!

プロフィール

◎小倉ヒラク(発酵デザイナー)

「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、全国の醸造家たちと商品開発や絵本・アニメの制作、ワークショップを開催。
東京農業大学で研究生として発酵学を学んだ後、山梨県甲州市の山の上に発酵ラボをつくり、日々菌を育てながら微生物の世界を探求している。

絵本&アニメ『てまえみそのうた』でグッドデザイン賞2014受賞。2015年より新作絵本『おうちでかんたん こうじづくり』とともに「こうじづくりワークショップ」をスタート。
のべ1000人以上に麹菌の培養方法を伝授。
自由大学や桜美林大学等の一般向け講座で発酵学の講師も務めているほか、海外でも発酵文化の伝道師として活動。

雑誌ソトコト『発酵文化人類学』の連載、YBSラジオ『発酵兄妹のCOZYTALK』パーソナリティも務めている。新著に『発酵文化人類学』。

公式サイト : http://hirakuogura.com/

麹

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