ほうろく屋 代表の杉崎学氏は、 「食を通して若者を元気にしたい」という強い使命感のもと、油づくりを行っています。
杉崎氏は1970年愛知県西尾市生まれ。25歳で起業し、4年で年商8,000万円を超える成功を収めましたが、多忙から心身ともに疲れ果てる日々を送ります。
その後、島根県隠岐での数年間の自給自足生活を経て、周囲の笑顔が自身の生きがいだと気づき、2005年に西尾市に戻りました。
当初の目的は「若者の仕事体験の場をつくる」ことでしたが、近所の製油所「大嶽製油所」(昭和24年創業)の先代である大嶽喜八郎氏が後継ぎがなく廃業すると聞き、「どうせやめちゃうなら、子供たちのために油を搾りたいので、教えてくれ」と申し出て、修行に入りました。
修行中、師匠の奥さん(タケコさん)が作る炒め物や揚げ物、油菓子が何を食べても非常に美味しいことに感動し、その美味しさが菜種油本来の力にあると気づきました。
そこで、先代が作った油を復活させると約束し、油屋としての活動を始めました。
活動の原動力となった強い使命感
杉崎氏が一切妥協しないものづくりを続ける背景には、過去に身内がいじめを苦に自ら命を絶ち、その後、その兄も心の病により自死するという出来事の経験から、良質な油、塩、水を摂ることが、身体を元気にし、精神的に強くするという確信に至ったものです。
杉崎氏は「食の作り手が、手をぬくことはできません」という責任感を持ち、菜種の生命力を凝縮した油を作り続けています。