手作りチーズキット-モッツァレラチーズの作り方
モッツアレラチーズ作りの材料
以下の材料でお作りいただくと、一回に150g程度のモッツアレラチーズができます。
・低温殺菌牛乳:1リットル
低温殺菌牛乳は、できるだけ新鮮なものを用意しましょう。
通常の牛乳ではうまく固まらず、チーズが作れません。
・レンネット粉末 0.1g(耳かきひとさじ)
レンネットは、かわしま屋にて送料無料で販売しています。
・クエン酸1.5g
・保温器
保温器がない場合は、鍋で代用できます
・ボール
耐熱ボールを用意してください。
・温度計
・耐熱グローブ
あると便利な物として
・PH測定器
・軍手
・ナイフ
かやしま屋では、レンネット、クエン酸、グローブ、温度計、レシピがセットになった
手作りチーズキットもご用意しております。
雑菌の繁殖を抑えるため、器具はきれいに洗ってから使用しましょう。
使用する道具をすべて煮沸消毒しておくと安心です。
モッツアレラチーズ作りのプロセス
チーズ作りには全部で9つのステップがあります。ステップ1 レンネットを小さじ1杯のお湯に溶かす。
ステップ2 牛乳1リットルを鍋、または保温器で加熱する。
ステップ3 温めた牛乳にクエン酸を加える
ステップ4 レンネットを加える
ステップ5 固まった牛乳をナイフでカットする
ステップ6 カードを温めて、液体と固体を分離させる
ステップ7 ホエーを抜く
ステップ8 カードを保温し、発酵させる。
ステップ9 カードを練る
ステップ1 レンネットを小さじ1杯のお湯に溶かす。
使用するレンネットの量はレンネットのタイプのよって異なります。
牛乳1リットルに対してタブレットであれば、1/8錠程度、粉末であれば0.2g程度が目安です。
ステップ2 低温殺菌牛乳1リットルを鍋で加熱する。
低温殺菌牛乳1リットルをなべに入れ、ゆっくりとかき混ぜながら弱火で35℃程度になるまで加熱します。
牛乳が35℃〜40℃の範囲であれば、多少の振れは気にしなくて大丈夫です。
保温器で加熱する場合は、温度を65℃に設定します。
牛乳が冷えた状態の場合、35度になるまでに2時間ほどかかります。
※保温器での加熱は時間がかかるため、鍋での加熱をおすすめします。
ステップ3 温めた牛乳にクエン酸を加える
温めた牛乳を保温器に移し、クエン酸を加え、よく混ぜます。
混ぜ終えたら、牛乳の温度を35℃に保ち、10分間静かに置いておきます。
ステップ4 レンネットを加える
牛乳に、お湯で溶かしたレンネットを加えてよく混ぜます。
混ぜ終えたら、牛乳の温度は35度のまま、5分間静かに置いておきます。
ステップ5 固まった牛乳をナイフでカットする
牛乳が卵豆腐のように固まりました。
この固まった状態の牛乳をカードと呼びます。
ードをナイフで2cm角ぐらいになるように、格子状に切っていきます。
ステップ6 カードを温めて、固体と液体を分離させる
カードを5分くらいかけて、40℃に高めます。
その際、保温器をゆっくりと揺らし、カードとホエー(液体)を分離させていきます。
ステップ7 ホエーを抜く
温度は40℃のままにした状態で、お玉を使ってホエーを抜いていきます。
ホエーを保温器から抜き、カードだけを残すように注意してください。
保温器を傾けて、ホエーを抜くこともできます。
抜いたホエーは捨てずに、カレーやシチューなどに利用できます。
ステップ8 カードを保温し、発酵させる
保温器の温度を35℃に設定し、30分〜40分ほど発酵させます。
途中で、何度か裏表を変えながら熟成させていきます。
発酵完了の確認方法
カードの端っこから少量のカードをとり、80℃のお湯に1分くらい漬けてから伸ばしてみます。
両端をつまみ、伸びれば発酵完了です。
この時点で、カードが伸びずにぼそぼそとした状態の場合は、まだ発酵が完了していません。
様子をみながら発酵を続けてみてください。
ステップ9 カードを練る
ここから先のプロセスは、軍手の上に耐熱グローブをつけ、やけどに注意をして進めてください。
カードをひとかたまりになるように丸めます。
80℃のお湯の中で、伸ばしては戻すように何度も練ります。
熱くなったらお湯から出して練り、またお湯の中に戻して練り続けると、
表面がなめらかで粘りが出てきます。
カードに十分に粘りが出てきて、表面が滑らかになってきたら、出来上がりです。
チーズを氷水につけて、熱が冷めるまで20分程度置いておけば、美味しいモッツァレラチーズの完成です。
保存はそのまま入れ物に入れるか、薄めの塩水につけて冷蔵庫で保存します。
1週間くらいで食べきるようにしましょう。
チーズをつくる原理
チーズ作りは実際にやってみると奥が深く、自然界、特に微生物の力のすごさを身近に感じることができます。特に、温めて発酵させた牛乳に子牛の第四胃から採った酵素を加えて固まってゆく様子は
生命の不思議としか言いようがありません。
ヨーグルトは高温殺菌された牛乳でも作れますが、レンネット※を使ったチーズは
高温殺菌乳では基本的につくれないのだということです。
液体の牛乳から作るチーズ(ここではレンネットを使うチーズのこと)はなぜ固まっているのでしょうか?
実はチーズが固まる現象には、牛乳中の「遊離カルシウムイオン」が大きく関係しているのです。
生乳中に含まれるタンパク質の80%である「カゼイン」は、リン酸が結合した複合タンパク質です。
牛乳中に丸い粒として浮かんでいる姿を想像してください。
この丸い粒同士は電気的な作用で通常はくっつかない状態を保っています。
いっぽう、生乳中に多量にあるカルシウムは、乳酸菌を加えて酸性になった牛乳ではカルシウムイオンとして多量に乳中に溶けている状態になります。
※レンネットとは子牛や子羊などの第四胃から抽出される凝乳酵素のこと。
レンネットの主成分キモシンは牛乳タンパクのカゼインの一部を分解する。
より詳しい情報は→こちら
ここにレンネットを加えると、カゼインの一部が分解され、カルシウムイオンを仲立ちとして結合できるようになりチーズとして牛乳が凝固するのです。
ところで、だいたい75℃以上の高温殺菌をすると、カゼインに含まれるリン酸がカゼインからはずれてしまいます。
このリン酸というのは、カルシウムイオンと非常に結びつきやすい性質を持っています。
高温殺菌をした牛乳では、カゼインからはずれたリン酸とカルシウムイオンが非常に強い力で結合してしまうため、
牛乳を固めるためのカルシウムイオンが不足してしまい、レンネットを加えてもカゼイン同士を結びつけるものが無い=凝乳しづらくなってしまうのです。
だから、添加物無しでチーズを作るには75℃よりも低い温度で殺菌した牛乳を使う必要があり、
低温殺菌牛乳を買わなければチーズ作りを楽しむことはできないのです。
唯一、いつでも好きなときに安価にチーズ用の牛乳が手に入るのが皆さん、酪農家なのです。
チーズをつくるこの凝乳のメカニズムは、私たちが牛乳を飲んだとき胃の中で起こっている変化を再現したものともいえます。
牛乳を飲むと胃の中で胃液の塩酸とタンパク質分解酵素で固まり徐々に分解されながら腸へと運ばれ、さらに消化され、吸収される。
つまり、胃の中でチーズができ、それが消化しているとも言えます。
低温殺菌牛乳は、凝乳しやすく、この自然の摂理にかなっている一方で、
高温殺菌牛乳は、凝乳が不完全で十分消化せず腸へ運ばれてしまうことになります。
そういう意味で、低温殺菌牛乳の方が胃腸や健康のためによりよいと思われます。
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